● ダイヤモンドは永遠に 
Diamonds Are Forever
の音楽について
●全12曲
ボーナストラック入り盤、全21曲
●極私的アルバム評価  
★★★★★
●タイトルバック
 ・ダイヤモンドは永遠に
 歌・シャーリー・バッシー 通常版やシングル盤はバッシーの歌の前のイントロは、静かなムードメロディから始まるが、ボーナストラック入り盤に収録されているこの主題歌には、イントロの前に「ジャン!」とインパクトのあるサウンドが入る。こちらの方が映画と一致します。が、歌そのものは、どの盤とも映画は違う。映画は、ヴォーカルが微妙にテンポから遅れて歌われている。
●挿入歌 特になし
●ラスト曲
 ・ダイヤモンドは永遠に
 ラストシーン用にシャーリー・バッシーが歌われるオリジナルの「ダイヤモンドは永遠に」の曲。まるまる1番が歌われ「Forever・・Forever・・」でエンドタイトルと同時に終わる。この曲はどのアルバムにも入ってません。

●「ダイヤモンドは永遠に」サントラ、作品内の曲について
 サントラの表現にこういう言葉は適切ではありませんが、「集大成娯楽作」ですね。これは21曲入りのボーナストラック入り盤に言えることです。

 ボーナストラック入り盤では、映画劇中の曲は全て押さえられており、葬式のBGMや「サーカスサーカス」のゴリラ変身の曲まで入ってます。
 全体の構成は、まずはテーマ曲の「ダイヤモンドは永遠に」、これをムードあるシーンにインストメンタルでそのまま演奏。または、「ダイヤ」のイントロや旋律を、スリリングなシーンやサスペンスシーンに部分部分取り上げています。
 プレタイトルのアクション、アムステルダムエレベーターでのアクション、ラストの豪華船でのアクション、それぞれ同じ旋律のアクションテーマとも言える曲を作曲、それぞれ似ているが別の曲になっています。

 人工衛星のシーンは壮大な曲、ボンドを狙う2人の悪党のシーンには妖艶な旋律、バンビ&サンパーとの戦いの前とホーバークラフトシーンにはボンドのテーマを編曲、「サーカスサーカス」では、空中ブランコをイメージさせるムード曲・・。とにかく各シーンで聞かせる曲を作ってます。筆者(youon)個人的には、ボンドがホワイトハウスの屋上でロープ銃を放ち、宙ぶらりんになるシーンの音楽や、ブロフェルドが居る海上油田にパラシュートで降りてくる曲が印象的です。

 この「ダイヤモンドは永遠に」のアルバム(特にボーナストラック入り盤)で特筆すべきは、ジョン・バリーのポップス面が多く表れていることでしょう。
 それは、「Qのテーマ」、「ピーター・フランクスのテーマ」、「フィリックス・ライターのテーマ」、「ラスベガスのシャーディー・ツリーのテーマ」など、それぞれポップス風なビックバンドジャズと言うか、バリーの明るい曲作りの一面ですね。それぞれの曲は劇中で1曲まるまるかかるわけではなく、そのテーマの人物が登場するシーンに、あたかもその場で鳴っている音楽のように一部分だけ使われています。

 それらバラエティに富んだ「ダイヤモンドは永遠に」のアルバムを「集大成娯楽作」と筆者(youon)が評する所以です。
 極めつけはラスト近くのアクションシーンにかかる「007」。コネリー最後の「007」であり、この後、「ムーンレイカー」(79年)まで、「007」の曲は登場しませんから、この「ダイヤ」で一区切りでしょう。バリーのアレンジもこれまでの「007」より一段とノリが良いように感じられます。

 サントラの通常盤とボーナストラック入り盤とでは大違い。ボーナストラック入り盤が単に曲数が多いだけではなく、ボーナストラック入り盤は、通常盤にある曲それぞれ前後に曲が付いてる感じ。つまり「007(TO HELL WITH BLOFELD)」であれば、ラストの007の旋律がかかる以前のボンドがパラシュートで海上油田に到着するシーンの音楽から始まってる(通常盤は「007」の旋律のみ)。


●「ダイヤモンドは永遠に」LPレコードの写真

●「ダイヤモンドは永遠に」サントラ日本盤、LPレコードの中開きの左側写真。右側はライナーノーツとシャーリー・バッシーの紹介。



●サントラLPレコードにくっ付いてる見開きのシャーリーバッシー・ポスター。




 『ジェームズ・ボンドとシリーズ映画・批評』TOPへ   



● 女王陛下の007 
On Her Majesty’s Secret Service

の音楽について
●全11曲
ボーナストラック入り盤、全21曲
●極私的アルバム評価  
★★★★★
●タイトルバック
・メインタイトル  On Her Majesty’s Secret Service(インストメンタル)
 挿入歌の「愛はすべてを越えて」をテーマ曲として報道される場合が多いが、タイトルバックは、テーマ曲のジョン・バリー作曲、インストメンタル、「On Her Majesty’s Secret Service」です。この曲はアクションテーマとして編曲され、劇中に何度も登場します。
●挿入歌
 ・「愛はすべてを超えて」 ・歌 ルイ・アームストロング
 初盤、ボンドとトレーシーが2人で過ごすイメージフィルム風なシーンでかかる曲。
●ラスト曲
 ・ジェームズ・ボンドのテーマ
 ラストシーンでは「愛はすべてを超えて」がインストメンタルでかかり、「女王陛下」オリジナルのジェームズ・ボンドのテーマがエンドタイトルにかかります。 

●「女王陛下の007」サントラについて
 傑作です。ジョン・バリーの絶好調と言ってよいでしょう。映画音楽史上、上位に上がるアルバムでしょう。

 まず、それまでのシリーズの定番であったタイトルバックのシンガーを外して、ジョン・バリーオリジナルのオーケストラインストメンタル、「On Her Majesty’s Secret Service(女王陛下の007)」を作曲したこと。この曲はアクションテーマともなりアクションシーンで加工されて使われる。
 さらに、「愛はすべてを超えて」を作曲し、歌とインストメンタルで、ムーディーなシーンに使われた。これら2大功績の上にそれぞれのシーンでユニークな曲作りをしている。

 ボーナストラック盤の豪華さは、ボンド一人が山頂の施設から脱出する「ESCAPE FROM PIZ GLORIA」が収録されていることに代表されますが、さらに、サントラ盤で特筆すべきは、ボーナストラック盤が、ただ曲が多いということではなく、通常版にあった既成の曲自体も、途中に違う旋律が数小節入っていたり、曲自体の長さが長くなっていることでしょう。これは多くの曲に言え、通常版とボーナストラック盤と同じ曲の方が少ないと言えます。

 例えば、ボーナストラック盤は、ガンバレル付きの「THIS NEVER HAPPENDTO THE OTHER FELLER」になってますし、また、「JOURNEY TO BLOFEELD'S HIDEAWAY」などは通常版とは後半の曲が全く違います。映画本編には、ボーナストラック盤の曲が使われています。
 通常盤とボーナストラック盤とでは、「JOURNEY TO BLOFEELD'S HIDEAWAY」という名でそれぞれ違う曲が入っていると考えて差し支えありません。逆に言えば、ボーナストラック盤にない曲が通常版にあるということです。「女王陛下」の音楽を堪能するためには、通常盤、ボーナストラック盤の両方を持たれることをお勧めします。


●「女王陛下の007」作品内の曲について 
 ピーター・ハントの演出が、シーンごとに趣旨がハッキリしているため、音楽がつけやすかったのかどうなのか、バリーの手腕は絶好調。どのシーンでも何らかの音楽が付き、シーンを盛り上げている。

 ボンド俳優が新しくレーゼンビーに変わったため、冒頭のガンバレルの後の「ボンドのテーマ」でボンドを印象づけた以外は、最終のエンドタイトルまで、ほとんどノーマンの「ボンドのテーマ」は曲内に旋律として登場しない。
 その代わり、「女王陛下のテーマ」と「愛はすべてを超えて」をいたるところで登場させています。

 60年代後半の映画に流行った、”ミュージックフィルム風にまるまる1曲使用する”という手法を「女王陛下」にも取り入れています。サッチモ(ルイ・アームストロング)の歌う「愛はすべてを超えて」が、ボンドとトレーシーのたわむれるシーンにそのまま使っています。

 2つのスキーチェイスシーンには、「女王陛下のテーマ」のそれぞれのアレンジ。ボンド、トレーシーの車で逃走するシーンにも「女王陛下のテーマ」がかかる。

 終盤、ブロフェルドの山頂施設へのヘリの襲撃には、ノーマンの「ボンドのテーマ」がそのまま2回使われ、曲が終わるとほぼ同時にブロフェルドからのマシンガン銃撃、「女王陛下のテーマ」に変わる。


 『ジェームズ・ボンドとシリーズ映画・批評』TOPへ  



● 007は二度死ぬ 
You Only Live Twice
の音楽について
●全12曲
ボーナストラック入り盤、全19曲
●極私的アルバム評価  
★★★★★
●タイトルバック
・You Onry Live Twice
 ジョン・バリー作曲。歌・ナンシー・シナトラ「007シリーズ30周年サントラ」には、You Only Live Twice: (Demo Version)として、ジョン・バリー作曲の全く別の曲が収録されている。歌い手は違うが、メロディや歌詞、曲のムードは、本編に使用された「You Only Live Twice」と似通っている。
●挿入歌 特になし
●ラスト曲
・You Onry Live Twice
 ラストに掛かる音楽は、ナンシー・シナトラが歌う1番がまるまる1曲かかります。ラストタイトルバックは、モーリス・ビンダーのデザイン。日本髪の女性も登場。これだけ映像が動くラストタイトルも今となっては珍しい。

●「007は二度死ぬ」サントラ、作品内の曲について
 今回はジョン・バリーに時間の余裕があったのか、はたまたバリーの実力か、「007は二度死ぬ」サントラ及び作品内の曲は、実に完成度の高い仕上がりになっています。

 ところどころボンドのテーマを組み込み、シーンを盛り上げています。各曲のテーマもそのシーンに分けて使ってます。例えば一部アルバムに名付けられた「スペースマーチ」は、宇宙に関わったシーンに、「スチャチャチャ、スチャチャチャ」とリズムを刻むアクションテーマ。アキやキッシー鈴木、結婚式などに使われるメロディは、微妙に西洋人が意識する東洋風な旋律、などバラエティに富みます。

 神戸ドックでのボンド対暴漢たちの乱闘シーンには、カメラがヘリ撮影で俯瞰となり、「You Onry Live Twice」の旋律がアクション風に高らかに鳴るのは感涙もの。

 ボーナストラック入りアルバムでは、微に入り細に入り、ボンド葬儀から潜水艦、日本上陸まで細かなシーンが思い起こせる曲作り。サントラ内の音楽と映画作品内の音楽はほとんど分断なく、そのままシーンの音楽として聞くことができます。

 リトルネリーが飛ぶシーンには、リトルネリー組み立てのシーンで「007のテーマ」のイントロ部分が繰り返され、実際にリトルネリーが発進するカットで「007のテーマ」の主旋律部分、この高揚感たるものは、今作品の醍醐味でしょう。 
 リトルネリーを追尾した敵のヘリが出現、戦闘状態になるシチュエーションには、まるまるノーマンの「ボンドのテーマ」がそのままかかり、曲の最後の「ジャーーン!」で、敵ヘリの墜落といった気の利きよう。見事です。

 サントラの内容と作品内に使用されている曲は、ほぼ一致しています。ボーナストラック入りアルバムでは、ほぼ全曲押さえられているでしょう。曲の途中、数小節、映画作品に使われてない音楽がところどころあります(ボーナストラック入りアルバムの方が音楽が多いということ)。


 『ジェームズ・ボンドとシリーズ映画・批評』TOPへ   



●サンダーボール作戦 
 Thunderball
の音楽について
●全12曲
ボーナストラック入り盤、全18曲
●極私的アルバム評価  
★★★★
●タイトルバック 
 ・サンダーボール ・シンガー、トム・ジョーンズ
 当初、ジョン・バリーは、「ミスター・キスキスバンバン」の曲でタイトルバックを作り、ビンダーもその曲に合わせタイトルバックをデザインしたが、試写後、プロデューサーより「サンダーボールのタイトルが出るところで”サンダーボール”と歌わせるべき」ということとなり、急きょ、バリーは「サンダーボール」の曲を作曲、入れ替えた。「ミスター・キスキスバンバン」と「サンダーボール」の曲の長さは完全に一致する。
●挿入歌
 ・ミスター・キスキスバンバン(インストメンタル)
 ボンドが逃げ込んだ屋外ダンスホールでかかる曲。
●ラスト曲
 ・ジェームズ・ボンドのテーマ
 ラストに掛かる音楽は、上映時、ビデオ版、DVD版と違います。上映時、ビデオ版では、サントラ盤に入っているアクションからの繋がりのバリーの曲で終わります。DVD版、wowow放送版では、ジェームズ・ボンドのテーマに差し替えられています。 

 右の画像は、筆者(youon)が1980年代に買った「サンダーボール」のサントラLPレコードです。内容はそれまで発売されていたLPと同じで、ボーナストラックなどは入っていません。ジャケットデザインが違うだけです。

 ジャケットには右のようなシールが貼ってあります。1987年時の再発売シリーズと思われます。

 サウンドトラックアルバムとしては、ボーナストラックなどが入っていないため、いささか消化不良感があります。

●「サンダーボール作戦」サントラについて
 「サンダーボール」のサントラを語る場合、ちょっと複雑です。まず、当初から発売された「12曲入り」の盤ですが、これは劇場公開と同時発売に間に合わせるため急いで作成された盤で、映画作品の主に前半の曲しか入っていません。
 その後、「007シリーズ30周年記念サントラ」で、ディオンヌ・ワーウィックが歌う「ミスター・キスキスバンバン」(本来この曲がタイトルバックだった)、シャーリー・バッシーが歌う「ミスター・キスキスバンバン」(バリーがサンプルとしてバッシーに歌わせたのか?)、そして収録されている「Thunderball Suite」で、21分強に渡り、従来のアルバムになかった曲が披露されます。ガンバレルの曲も入りました。

 そしてさらにボーナストラック盤で、6曲、それまで無かった曲が聞かれます。ボーナストラック盤でもガンバレルが入りますが、「30周年記念サントラ」では、ガンバレルの後バハマの海中シーンの音楽になり、ボーナストラックでは、ガンバレルの後、リハビリ施設のボンドピンチの曲に繋がります。実際の映像作品ではガンバレルの後、音楽はありません。

 上記のように1つのアルバムではなく、全体として、「サンダーボール」のサントラを語るならば、音圧と言うか、グイグイ押してくる迫力の音楽ですね。それは聞かせます。が、「時間がなかった」とバリーが言うように、それぞれ似たような曲になり、1曲1曲への詰めが甘く、若干、手抜きのような印象もあります。
 多分、後日のあらためて収録されたと思われる「Thunderball Suite」の21分の迫力は、21分間飽きさせません。素晴らしい出来です。


●「サンダーボール作戦」作品内の曲について 
 「サンダーボール作戦」の製作自体が、”押していた(封切り日に間に合わせるため急いで作ってる)”ということですね。音楽もバリーが「時間がなかった」とビデオコメンタリーで言っています。実際、作品自体も編集が雑だったり、ラストのエンドタイトルも明らかに変です(変なところでオーバーラップしてる)。

 作品自体が上記のような状態なので、どうりでと言うかなんと言うか、なんと本編の音楽が途中でブチ切れたりする箇所が数か所あるという状態。音楽をまともに聞かせるといった作品にはなっていません。前作の「ゴールドフィンガー」とは大違いです。

 当然、サントラ盤にある曲を綺麗に聞けるような状態ではなく、部分部分が、画面に合わせて浮かび上がっては消えてしまうという音楽の使い方。最終的に誰が作業したかは不明ですが、バリーの本意ではないでしょう。

 つまりは、「時間がなかった」ということですが、そりゃそうでしょう。始めに予定していた「ミスター・キスキスバンバン」が外され、本編もまだ出来上がってないまま「サンダーボール」を作曲し、トム・ジョーンズに歌わせて、多分、その後で、ところどころ出来上がった本編シーンの音楽を作曲したのでしょうから、まあそれは、さぞ、大変だっただろうと推測します。
 ですので、作品内の曲として「サンダーボール」を評価するのは、ちょっと”酷”なんじゃないかと思います。
 ただ驚くことに本編には、どのサントラでも聞かれない曲があるということですね。例えばボンドがフィオナの車に乗せられて猛スピードのシーンの音楽はどのサントラにもありません。


 
Thunderball
 
 『ジェームズ・ボンドとシリーズ映画・批評』TOPへ 



●ゴールドフィンガー Goldfinger  の音楽について
●全10曲
●ボーナストラック入りで全15曲
●極私的アルバム評価  
★★★★★
●タイトルバック 
 ・ゴールドフィンガー
 この作品で初めてシリーズのひな型になる「歌手が歌うタイトルバック」です。シンガーはシャーリー・バッシー。
●挿入歌 特になし
●ラスト曲
 ・ゴールドフィンガー
 シャーリー・バッシーの歌で、ラスト用に編集された「ゴールドフィンガー」。CDなどのメディア化はされていない。
 
エンドタイトルで、ビンダーのデザインの映像が動いてるのは今になっては珍しい。

 左の写真は、1980年代に筆者(youon)が買った、ボーナストラック入りのLPレコードのジャケット。渋谷の「すみや」で買いましたが、どういう経緯のLPレコードかは不明です。当時のレコードは上のジャケットデザインで、ボーナストラック無しが通常でした。
 その後のCD発売も当初はボーナストラックがなく、「007、30周年記念アルバム」で初めて、「ゴールドフィンガー」のボーナストラック、5曲を聞くことができました。

 今、発売のCDは当然ボーナストラック付きだろうと思っていましたが、amazonを見ると違いますね。現在販売中はボーナストラック無しのヴァージョンのようです。
 筆者(youon)が数年前に、amazon-UKで購入したCDは、ボーナストラック入りでした。
どうも現在でもヴァージョンが2つあるようです。

●「ゴールドフィンガー」サントラ、作品内の曲について
 この007シリーズ3作目にして、初めてジョン・バリーが主題歌も担当。このパターンが7作目の「ダイヤ」まで続くことになります。
 「ゴールドフィンガー」のバリーは絶好調。ノーマンのボンドのテーマをアクション部分、ムーディーな部分双方に生かし、また、バリー自身作曲の「ゴールドフィンガー」のテーマ旋律も、アクション部分、サスペンス部分、ムードあるシーンそれぞれに生かしています。

 サントラには映画内の曲がほとんど押さえられており、曲の分断もほとんどありません(ボーナストラック盤において)。そのため、サントラの曲を聞くことで映画内のシーンがそのまま思い起こすことができます。
 ジョン・バリーの力量が大きく発揮されたアルバムですが、これが頂点ではないことがバリーの凄さでしょう。

 なお、サントラ盤に収録されている「ゴールドフィンガー」のオーケストラ演奏、パンチの効いたインストメンタル「ゴールドフィンガー・インターナショナル・ヴァージョン」は、過去にシングルカットもされてますが、作品本編に使用されたシーンは見当たりません。過去のTV放送時には、アストンマーチンの活躍場面でこの曲をのせていました。
 何故かCDアルバムでは、この曲だけモノラルです。


 『ジェームズ・ボンドとシリーズ映画・批評』TOPへ  



●ロシアより愛をこめて
From Russia with Love の音楽について 
●全18曲
●極私的アルバム評価  
★★★★★
 ●タイトルバック
・ロシアより愛をこめて(インストメンタル)
・ジェームズ・ボンドのテーマ
  有名な歌唱曲の「ロシアより愛をこめて」はタイトルバックには使われてはいません。ジョン・バリーが編曲したインストメンタルです。中盤からは、「ドクター・ノオ」で演奏されたジェームズボンドのテーマのサビの部分を「ロシア」ヴァージョンで演奏されています。
 ●挿入歌
 ・ロシアより愛をこめて  ボンド登場、初盤にラジオから聞こえてくる。
 ●ラスト曲
 ・ロシアより愛をこめて
  有名な、と言うか、ムードミュージックの代表格となった「ロシアより愛をこめて」がラストのベニスのシーンでかかります。「ロシアより愛をこめて」の作曲は、ライオネル・バート。歌はマット・モンローです。
 
●「ロシアより愛をこめて」サントラについて
 まずタイトルバックの「ロシアより愛をこめて」ですが、ジョン・バリー作曲ではありません。ライオネル・バートです。このライオネル・バート作曲の歌唱曲は、ラストで歌われます。
 ライオネル・バートはこの「ロシア」の後、「オリバー!」(1968年)で全曲を担当し評価され、資料によると「黒馬物語」 (1970年)や別れの街角 (1973年)などで地道な映画音楽活動をしています。

 タイトルバックの「ロシアより愛をこめて」は、ジョン・バリーが原曲を思いっきり編曲して、パンチの効いたインストメンタル曲にしています。特にイントロの「ジャカジャカジャン、ジャカジャカジャン」というオリジナルの4小節は、ボンドのテーマに変わる「ボンド映画」の代名詞として使われることが多くあります。

 「ロシアより愛をこめて」の歌唱曲に有名なノイズが入る問題ですが、曲編集加工スタジオ作業時に、別トラックの音声が早回しで入れ込んでしまったと聞いています。

 このサントラは2000年代に「007シリーズCD」ヴァージョンアップのラインナップから外れ、LPレコードと同じ曲数、曲構成になっていますが、映画本編の音楽はほぼ網羅されているので、問題ないでしょう(ガンバレルや一部の劇中曲は入ってません)。

 007映画の第二のテーマ曲とされる、「007」の曲も「007」とロングヴァージョンの「大団円」に2曲に渡って使われ聞きごたえがあります。

 インストメンタルにしたムードミュージックの「ロシアより愛をこめて」ですが、このサントラにも入っています。この曲、ジョン・バリーのベストアルバムなどで、バリーが当然のように演奏していますが、実はバリーの曲ではないのですが・・。いかにもバリーは自分の曲と思い込んでるように見えます。

●「ロシアより愛をこめて」作品内の曲について 
 一言でいえば、「ジョン・バリーはこの時点でもう出来上がってる」ってことですよね。バリーは、「ロシア」より前に「ドクター・ノオ」に関わってはいますが、表には出ていません。また、「ロシア」より前に数本の映画音楽を担当してますが、「ロシア」のようなサスペンスアクションものは、メイン作曲家としては初めてのはずです。それがこの上出来ですよ。

 モンティー・ノーマン作曲とされる「ボンドのテーマ」も効果的に使い、独自の「007」の曲の発表、「ロシア」のメロディもムードあるシーンで使っている。

 プレタイトルでの「忍び寄り」でジャジャッジャン!と盛り上げて、「1分52秒すばらしい」で、タイトル音楽、絶妙です。
 「ロシア」でのバリーの仕事ぶりは、シーンに音楽を入れることもさながら、シーンとシーンのつなぎに音楽をかぶせていること。それがいい効果を上げている。まあこれは編集のピーター・ハントとの阿吽の呼吸とでも評しましょうか。

 後にバリー自身が「メロディが無い曲は考えられない」と言うように、この作品でも、スペクターのテーマを初め、どのシーンの曲もメロディがしっかりしている。
 バリーの特徴的な曲の入れ方で、オリエント急行でのグラントが汽車の中、ボンドが駅内を歩く、グラントの画面で「パオ!パオ!」と効果音的な音楽。

 「ドクター・ノオ」の基地脱出シーンの音楽が、この「ロシア」、終盤のヘリ射撃シーンとボート炎上シーンに使われています。メイドに化けたローザ・クレップ大佐の靴からナイフが出るところの音楽も絶妙です。

 『ジェームズ・ボンドとシリーズ映画・批評』TOPへ



●ドクター・ノオ Dr.NO の音楽について
●全18曲
●極私的アルバム評価  
★★
●タイトルバック 
 ・ジェームズ・ボンドのテーマ、・ジャマイカミュージック、・スリー・ブラインド・マウス
 タイトルバックには3曲かかり、ご存知のジェームズボンドのテーマは短く編集されている(どのアルバムにもこのまま入ってはいない)。途中のジャマイカミュージックもアルバムには入っていない。
●挿入歌
 ・マンゴの木の下で
 ミス・タロの家でボンドがかけたレコードから聞こえる曲。
●ラスト曲
 ・マンゴの木の下で(インストメンタル)・ジェームズ・ボンドのテーマ(数小節)
 ラストのマンゴの木の下で(インストメンタル)はどのアルバムにも入っていない。 

 近年(2015年?)にこのジャケットデザインで発売された「ドクター・ノオ」のサントラ。筆者(youon)的には、謎のアルバムです(購入しましたが・・)。このアルバムは何でしょうね。オフィシャルなのかブート盤(海賊盤)なのかも定かではないです。

 まず、従来のサントラの曲は全て入ってます。その上で、映画本編から取り込んだと思われるサウンドが4曲ほど、その他、「ドクター・ノオ」となんの関係があるのだろうと思われるジャマイカンミュージックや60年代のムードミュージックが10数曲程度で合計34曲を構成しています。

 これまで他の再現アルバムなどでも聞かれなかった劇中曲が聞かれるのは大きなメリットですが、音質は良くありません。
 オフィシャルの「ドクター・ノオ」のサントラは、全て押さえていることから、初めて「ドクター・ノオ」を買う方ならこちらの方がよろしいかも。またオフィシャルサントラには無い劇中曲が入ってることから、マニアは手に入れて損はないと思います。

●「ドクター・ノオ」サントラについて
 オフィシャルのサントラ盤では、モンティー・ノーマン作曲との触れ込みで、有名な「ボンドのテーマ」、「マンゴの木の上で」やジャマイカンミュージック、打楽器を使った劇中音楽が収録されています。

 まあ、これは、ジョン・バリーも亡くなっていることだし、永遠の謎ですが、有名なボンドのテーマは誰が作曲したかということです。これは、オフィシャルではモンティー・ノーマンで決定してますよね。また、ビデオコメンタリーでは、ノーマンご本人が、過去に作曲した曲を引き合いに出して、「自分が作曲した」とハッキリ言っています。が、納得しないのは視聴者なんですよね。
 「ボンドのテーマ」とサントラにあるノーマンの劇中曲とは、隔たりがあるだろうということですよ。
 明らかに雰囲気が違う。となると、折衷案として、メロディなど大元はノーマンが作ったのだろうけど、それを演奏するジョン・バリー楽団が、大幅に編曲して、現在の曲になったのではないかと・・。パンチを効かせたところなんかは、バリーの手腕なのではないかと推測します。

 オフィシャルのサントラ盤には、劇中のシーンを盛り上げるための曲がほとんど入っていません。例えば大蜘蛛のサスペンスシーンの音楽とかですね。
 これは、ノーマンが作曲したのではないため、サントラ盤に入れられなかったと推測します。
 ではその劇中曲は誰が作曲したかと言えば、バリーなんじゃないですか?ということになりますが、そのサントラはこの50数年、出ていません。出せば売れるはずです。「曲の原版、無くしちゃったんですか?」ってことになってますね。

●「ドクター・ノオ」作品内の曲について 
 モンティー・ノーマンが、映画「ドクター・ノオ」の音楽を”全て”担当しているということにオフィシャルではなってますから、「モンティー・ノーマンの曲」とせざるを得ません。サントラ盤に入れてない曲の中でも、ひょっとしたらノーマン作曲かも・・と思われる曲もあることはあります。
 例えば曲中に、「ピッピッピッ!」と効果音が入る曲などはノーマンのセンスに近いものがあります。

 ただし、ラスト近く、基地からの脱出シーンの音楽は、そのまま、次作の「ロシア」に使われています。
 「ロシア」の劇中曲は、バリーの作曲ですから、もしノーマンの曲なら、それを「ロシア」に流用することは誠に不自然で、もともと、バリーが作曲したのだろうと考えるのが妥当でしょう。

 「ドクター・ノオ」の劇中曲は、例えば、浜辺で追跡してきた敵兵をボンドが刺殺するシーンやドクター・ノオ登場シーンなど、効果的な音楽になっている。

 『ジェームズ・ボンドとシリーズ映画・批評』TOPへ   


Copyright(C) youon All rights reserve