2023年1月29日 
■■ 映画コラム ■■ 
 
 
母さんがどんなに僕を嫌いでも

2018年/日本/1時間44分
監督:御法川修
出演:仲野太賀、吉田羊、森崎ウィン、白石隼也

母親から児童虐待を受けて育った青年が、周囲の情けも借りて現在の母親と対峙する物語。

主人公の青年、役名・歌川タイジ(演・太賀、現芸名・仲野太賀)の「歌川たいじ」という名前にどうも見覚えがあるなと思ったら、以前からゲイを公表し、情報サイト「All About」などでゲイ情報を発信している歌川たいじさんでしたわ。

「母さんがどんなに僕を嫌いでも」は、2013年に歌川たいじ氏が発表したコミックエッセイ、さらに2018年に小説化されたものの映画化。筆者はノンフェクションものと思い込んで鑑賞していたが、

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「ロミオとジュリエット」訴訟問題

2023年1月4日付けのニュースで、
『ヌードシーンが児童虐待、1968年『ロミオとジュリエット』で製作会社訴え』というのが出ました。yahoo!ニュースに限らず各ニュースから出てます。

「今更何言ってんだ!?」というのが筆者の感想ですが、ニュースは消えますからね、といって丸々コピーすると著作権引っ掛かりますから、該当ニュースをリンクした上、ニュース自体を要約してこちらに書きます。

yahoo!ニュースはこちら

下記・要約・ここから*****
1968年の映画『ロミオとジュリエット』でのヌードシーンが児童虐待に当たるとして、俳優のオリビア・ハッセーさんとレナード・ホワイティングさんが先週、米製作会社パラマウント・ピクチャーズを訴えた。
フランコ・ゼフィレッリ監督(2019年に死去)の同作品でハッセーさんは15歳、ホワイティングさんは16歳だった。現在70代の2人は、裸の臀部や胸の一部が見えるシーンは性的搾取であり、児童ポルノ画像配布に当たると主張している。
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世界で一番美しい少年

2021年/スウェーデン/1時間38分
監督:クリスティーナ・リンドストロム、クリスティアン・ペトリ
出演:ビョルン・アンドレセン、池田理代子、酒井政利
原題:The Most Beautiful Boy in the World

ネタバレ全開で書きますんでご了承ください。

映画「世界で一番美しい少年」は、1971年の「ベニスに死す」に出演した当時15才の美少年、ビョルン・アンドレセンの現在(2021年時点)を描いた作品。

早い話、あの美少年がこんな爺さんになってましたということを表現するには20分程度で済むことを93分の尺を使ってドキュメンタリー映画にしている。爺さんになってるのは時間が経っているのだから当然で、映像を見れば一目瞭然。その時点でこの作品の目的は果たしている。

観客が興味を持つのは「ベニスに死す」出演の後、人間ビョルン・アンドレセンが何を思い、何をして爺さんに至ったかですよ。
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ベニスに死す

1971年/伊・仏・米/2時間11分
監督:ルキノ・ヴィスコンティ
出演:ダーク・ボガード、ビョルン・アンドレセン
原題:Death in Venice

名作です。これはもう世に知れ渡った評価で、映画史における名作であることは確か。さらに映画を超えた美術品と言っても過言ではない。これは筆者個人が年月をかけて培われた評価で、初見からそう思っていたわけではない。

「退屈」「何がいいのか分からない」という意見もある。これね、普通の映画の見方をしたら分からないのですよ。まず「美」という絶対的なモノがそこにあるということを認識しないとこの映画の良さは分からない。芸術にはたまにそういうモノが出現する。サッパリ分け分からん「2001年宇宙の旅」が未だに映画史に残る名作であるように。
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 ●原作
Summer of 85

2020年/フランス/1時間41分
監督:フランソワ・オゾン
出演:フェリックス・ルフェーヴル、バンジャマン・ヴォワザン、フィリッピーヌ・ヴェルジュ

 巨匠と呼ばれてるフランソワ・オゾン監督ですが、筆者は全く巨匠とは思ってない。作品数で言えば巨匠かもしれませんが。ゲイを公言し、同性愛作品、裸がの多いこの監督、筆者はこの監督を感覚がちょっとひん曲がった恋愛職人監督だと思ってます。

 あくまでも筆者が見たオゾン作品に限ったことですけどね。

 「ひん曲がった」とは、今作品「Summer of 85」で言えば、主人公16才少年の相手である18才男の母親が、主人公16才少年の服を脱がし全裸にするところ。

 エロシーンではなく、単に風呂に入らさせるため。少年のケツ出し、全身全裸状態だが股間は写さず。その代わり、母親が少年の股間を見つめ「親御さんは喜ぶわ」ってなことを言う。何だこのシーンは?
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そこにいた男

2020年/日本/34分
監督:片山慎三
出演:安井秀和、清瀬 やえこ、中村映里子

 当「映画コラム」としては久々の男の全裸です。

「そこにいた男」はサスペンスとされているが、分類上そうなっているだけで、正確に言えば「男女愛憎殺人事件再現映画」でしょう。それが短編ながらもしっかり立っているのは、なにはともあれ男を演じた安井秀和の熱演ですね。

全裸の状態で腹を包丁で刺され、血を流しながらのたうち外へ逃げようとする。刺されてから3分ほどあるシーン。他の映画で刺されるシーンはよくあるが、普通すぐうずくまってしまうとか、カットが変わって別視点になるとかで、ここまで全裸で長い描写は初めて見ました。これだけでもこの作品の評価は高い。
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ブータン 山の教室

2019年/ブータン/1時間49分
監督:パオ・チョニン・ドルジ
出演:シェラップ・ドルジ、ウゲン・ノルブ・へンドゥップ

 ブータン国の首都テンプーに住む(一応)都会の青年が、通達を受けてブータン奥地の辺鄙な山の村に教師として派遣される数か月間の話。実にいい映画です。筆者絶賛です。

話と言っても、話っちゅう話はないですよ。都会(?)での主人公の若干ぐーたらした描写から始まり、オーストラリアへ移住することを夢見る彼。

ブータンのシステムでなんかあるんでしょうね、「教職のノルマ」みたいのがなん年だか残っていて、教師としてブータン奥地へ。バスで半日、徒歩で7日間。村の役所の人が迎えに来てくれる。
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孤狼の血 LEVEL2

2021年/日本/2時間19分
監督:白石和彌
出演:松坂桃李、鈴木亮平、村上虹郎、斎藤工、中村梅雀、滝藤賢一、中村獅童、吉田鋼太郎

 さて、今回の続編『孤狼の血 LEVEL2』ですが、前作と話は繋がってますが、東映実録路線のテイストはほぼ切れてますね。と言うか、時代背景は平成、話も演出も現代的で、しっかり白石監督作品、現代邦画の秀作に仕上がっています。前作で死んだ役所の役どころ“はぐれ刑事”を今回の松坂桃李が、松坂らしい役作りで見事に演じてる。

 話の肝はしっかりしていて、つまりこれは「モンスターヤクザ(鈴木亮平)」と「策略ブチ切れデカ(松坂桃李)」との殺し合いの話ですね。もうこれは、東映ヤクザどころではなく、その猟奇的な殺し方とかで「捜査ものホラー」の領域に近いです。
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黒いジャガー/シャフト旋風

1972年/米/1時間44分
原題:Shaft's Big Score!
監督:ゴードン・パークス
出演:リチャード・ラウンドトゥリー

 この2作目『黒いジャガー/シャフト旋風』の特出してる所は、宣伝美術と音楽の良さです。私が言わなければどなたも指摘しないと思う(ネットで詳しく探ればあるかもしれませんが)。

 まず宣伝美術。これはポスターをご覧になれば一目瞭然。この世のモノでないようなアクションシーンを絶妙な構図でイラスト描写し、この作品の世界観を見事に表現している。
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空白

2021年/日本/1時間47分
監督:𠮷田恵輔
出演:古田新太、松坂桃李、片岡礼子、寺島しのぶ

エロくも裸もありません。出演者にも筆者は色気を感じません。ではこの作品を述べる理由は何かと言うと、この作品は少なくとも近年の邦画史上における「極め付きな問題作」であるということですね。

万引き未遂(?)の女子中学生を追跡するスーパー店長(松坂)、中学生は車に2度轢かれ死亡。そこから父親、加害者、被害者、社会、マスコミ、ネット、それらの反応がリアルに描かれる。
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菅田将暉論

大したことを申し上げるわけではないのでご期待なさらぬようお願いいたします。
単に俳優・菅田将暉氏についてゴチャゴチャ言って、主演映画の動画なりをリンク紹介したいと思ってるのみです。

今、日本で一番活躍してる俳優ではないかと思います、菅田将暉氏(音楽活動については論じません)。来年('23年)の2月で30才とのこと。

菅田将暉氏についてよく言われるイメージは「エロい」です。筆者も同感。wikiとか見ると「アイドル性と演技派の二面性を兼ね備えている」とか、
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通販 通販 通販
タロウのバカ
CUBE 一度入ったら、最後
(通常版)
(ブルーレイディスク)
花束みたいな恋をした
DVD通常版
 
 三蔵法師を演じたウェン・ジャン
不倫騒動で国家電影総局より
現在干されているとのこと
西遊記
〜はじまりのはじまり〜


2013年/中国・香港/1時間50分
原題:西遊 降魔篇
監督:チャウ・シンチー
出演:ウェン・ジャン、スー・チー、ホアン・ボー、ショウ・ルオ

まず、「男の裸」の観点から、大したことはありませんが述べておきましょう。

後に三蔵法師の付き人「沙悟浄」になる魚の妖怪が、妖怪ハンターに退治され、人間の形になり、陸揚げされる。全裸の男でスリム普通体型のなかなかいい男。脚で股間は隠されているが、ケツは丸出し。
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◆ターミネーター・ニューフェイト
2019年/米/2時間9分
原題:Terminator: Dark Fate
監督:ティム・ミラー
出演:リンダ・ハミルトン、アーノルド・シュワルツェネッガー、マッケンジー・デイヴィス

作品を述べる前に、まず、下記のニュースから。
●「ターミネーター」監督 19年作品を失敗作と認める プロジェクトを受けたことは間違い
ティム・ミラー監督(57)は、「ターミネーター」シリーズに挑戦したことを後悔しているという。ミラー監督は2019年に、オリジナルの映画に出演していたアーノルド・シュワルツェネッガー(75)とリンダ・ハミルトン(65)が再共演を果たした映画「ターミネーター:ニュー・フェイト」でメガホンをとったが、興行収入は振るわず、
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MINAMATA 
 ―ミナマタ―


2021年/米・英/1時間55分
監督:アンドリュー・レヴィタス
出演:ジョニー・デップ、ビル・ナイ、美波、真田広之、浅野忠信、加瀬亮、國村隼

 1971年、ニューヨーク。アメリカを代表する写真家の一人と称えられたユージン・スミスは、今では酒に溺れ荒んだ生活を送っていた。そんな時、アイリーンと名乗る女性から、熊本県水俣市にあるチッソ工場の撮影を依頼される。工場が海に流す有害物質によって、罪もない人々が病気になり命を落としている事実を報道してほしいというのだ。(DMM.comより抜粋)

 主演のジョニー・デップが製作も担当した作品。結果は成功でしょうね。
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キネマの神様

2021年/日本/2時間5分
監督:山田洋次
出演:沢田研二、菅田将暉、野田洋次郎、前田旺志郎、リリー・フランキー

 映画「キネマの神様」の監督・脚本の山田洋次、御年、90才。この作品が遺作になっても悔いはないだろうと筆者は勝手に思ってる。それだけ優秀な作品だったということですよ。と言っても、勝手に思ってるだけで、監督本人が言った訳でも聞いた訳でもないです。

 「この作品は優秀」と申し上げましたが、傑作か?と言うとそうでもない。いつもの山田作品のアベレージですね。
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