「マッドマックス」 Mad Max 映画シリーズについて



 実はこの記事を書く前に、録画してあった「マッドマックス」を見直してみました。

 筆者(youon)は「マッドマックス」1作目を公開時に試写会で見ていましたが、”C級アクション映画”と簡単に片づけていました。それ以降、再見したことはなく、「これだけ優秀なシリーズが続いているならば、1作目を再認識すべきでは・・」と思い、改めて再見しました。

 1作目を録画で再見したところ、この30年以上思っていた筆者(youon)の「1」に対する”C級映画の各印”は崩れることはなかったですね。低予算とは言え、技術的には滅茶苦茶です。当時だったと記憶しますが、製作サイドは「バイオレンスの追求」と謳っていて、確かにその気骨は感じられます。ですので各国(米国は除く)でヒットしたのかもしれません。

 まあ、質によらず「1」がヒットしたので「2」が作り得たとしか思えません。そして予算が増えたとはいえ、「1」と「2」の演出力の格差はなんでしょう? 子供と大人ぐらいの違いがありますよ。

 筆者(youon)は「2」も公開時に劇場で見ています。その後、名画座、ビデオ、放送などで何度も見ています。先日TVのチャンネルを合わせたら、たまたまwowowで冒頭シーンをやっていて、そのまま最後まで見てしまい、思わず「名作だわ」と唸りましたね、それだけ「2」は傑作です。

 「3」も公開時、劇場で見ていますが、どこで見たのかは失念。作品の出来は良いが、「2」の焼き直しだと思っています。

 さて、「3」から30年の時が経って、「4」と言える「怒りのデスロード」ですが、いろいろ賞を取ったりと評判はとてもよろしいですね。まあ、分かります。「4」の企画が挙がっては、諸事情で中断、出演予定だったメル・ギブソンも数度の企画頓挫で逃げられ、執念で作った「怒りのデスロード」ですからね。ご祝儀票も相当入ってると思います。

 筆者(youon)の「怒りのデスロード」の評ですが、まあ悪くないです。良く出来てると思います。が、過去シリーズ作と比べて、出演者のキャラがちょっと弱い。

 それと決定的に『それは無いだろう・・』と思ったのは、最後の車両横転(爆発?)シーンで、画面にまず間違いなくCGで、車のハンドルとエレキギターがアップで観客に向かって見せつけられる。これはいかにもCGっぽい演出で、もちろん作品内でアクションにCGを使っているでしょうが、『リアルなバイオレンスの追求』という初期のポリシーから反しませんか? CGを使っていても使ってないような見せ方をするのが筋じゃないでしょうか。その点、マイナスイメージです。
 「2」の施設爆破シーンで画面左に「ゴン!」と飛び散る破片のリアル感とは大違いです。

 あと、「怒りのデスロード」については、やはり「2」のパターンからは抜け出せず、新たな世界観が見えなかったことが残念です。



●マッドマックス Mad Max  映画シリーズ 

・オリジナルポスター ・日本版ポスター

・マッドマックス 
 Mad Max

製作:1979年 オーストラリア 
監督:ジョージ・ミラー
音楽:ブライアン・メイ

●極私的感想
 申し訳ないですが、確実にC級映画です。編集も演技も変です。再見して気が付きましたが、マックスの奥さんは大怪我をして病院に入りました。しかし「1」の作品内では死んではいません。医師が「生きている」とハッキリ言っています。その後のシリーズで奥さんの描写は全く無いですね。




・オリジナルポスター ・日本版ポスター

・マッドマックス2
 Mad Max 2

製作:1981年 オーストラリア 
監督:ジョージ・ミラー
音楽:ブライアン・メイ


●極私的感想
 傑作です。傑作の要素はいくつもあるが、筆頭に挙がるのはやはりCG無しでは映画史上トップクラスのカーアクションでしょう。それと冒頭に老人の独白。それがラストにもあり、マッドマックスの世界観を深めている。
 ブーメランの子供など各キャラが際立っている。あと、コスチュームデザインの奇抜さですね。音楽も傑作。



・オリジナルポスター ・日本版ポスター

・マッドマックス/サンダードーム
 Mad Max Beyond Thunderdome

製作:1985年 オーストラリア 
監督:ジョージ・ミラー
   ジョージ・オギルヴィー

音楽:モーリス・ジャール

●極私的感想
 基本的には「2」のプロットを踏襲している(新天地への脱出と追跡)。バータータウン(サンダードーム)や岩場での飛行機遭難した子供たちのコロニーなど魅せる要素も出てきた。
 ティナ・ターナーが自分で「(この作品を)抱きしめたくなる」と言うように彼女の”女ボスの演技”は、板につき生き生きしている。
 ラストの荒廃したシドニーに新女性リーダーの独白が被り、この作品を引き締めている。
 音楽は新規に名匠モーリス・ジャールが担当した、


・オリジナルポスター ・日本版ポスター

・マッドマックス 怒りのデス・ロード
 Mad Max: Fury Road

製作:2015年 オーストラリア・米 
監督:ジョージ・ミラー
音楽:ジャンキーXL

●極私的感想
 「3」より30年の時を経て、実質「4」として出来上がった今作は、メル・ギブソンが出てない時点で、過去作とは比べられないとは思うが、実は「2」より続いているプロットをこの作品でも踏襲している。それは新世界を期待した筆者(youon)のような観客にとってはいささか残念なところです。
 基本的には主役はシャーリーズ・セロンであって、マックスを演じたトム・ハーディは脇役に映る。したがってマッドマックスの世界観を作ってるマックスの行動は、ラストの群衆に紛れる姿にしか感じることはできない。



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■「マッドマックス」mad max 映画シリーズ、ポスターについて。その1はこちら

■「マッドマックス 怒りのデスロード」 Mad Max: Fury Road ポスターについてはこちら



●「マッドマックス」MAD MAX の音楽について

 実はこのコーナー(「マッドマックス」の音楽)については、述べるのを避けようと思っておりました。理由は、「1」と「4(怒りのデスロード)」に関して筆者(youon)の見識がさほど無いからです。と言っても「2」と「3」について無視することは忍び難く、書かせていただくことにしました。



 2021年追記。「マッドマックス(1)」と「マッドマックス・怒りのデスロード」を現在、筆者(youon)はCDを所有しており、ここで追記として評価を述べます。

・マッドマックス
 廉価版が発売されており、購入しました。「2」と同じ、ブライアン・メイ作曲で、作風は「2」と同様です。画面に合わせてジャーン!とかの曲を入れているので統一した旋律はあまり聞かれませんが、全体的に音圧と言うか、迫力のある曲作りがなされています。
●極私的アルバム評価  
★★★★

・マッドマックス・怒りのデスロード
 本編画面にあるエレキギターの音響に準じた曲作りです。ギャギャギャキューンといった音響が印象に残ります。さらにデジタル作成が前面に出ているので、あまり心にしみる感じはありません。アルバムとしては高い評価はいたしません。
●極私的アルバム評価  
★★


ここまで、追記終わり。


 まず苦手な「怒りのデスロード」から言っちゃいましょう。サントラを持ってませんから、録画してある映像作品から音楽を注視して見るほかに手がありません(今のところ)。

 将来サントラを手にした時には、印象が変わるかもしれませんが、あまり音楽付いてないんじゃないでしょうか? 前半のアクションシーンには音楽無いような・・。終盤、ホラーっぽい音楽が付いて、ラストタイトルで優しそうな音楽がついてました。YOUTUBEでタイトル曲なる曲を聞きました。テクノっぽい感じです。

 作曲者のジャンキーXLは、「デッドプール」(2016年)や「バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生」(2016年)などのも音楽を付けているようですが、これもまた筆者(youon)に見識が無いので、これ以上申しません。

 「怒りのデスロード」のサントラは、今、低価格になっていますから、手に入れるかもしれませんので、何か申し上げる事が出てきたらそのときはよろしくお願いいたします。「怒りのデスロード」については以上です。すいません。では、「マッドマックス」の音楽について、「1」からいってみましょう。



「マッドマックス」 
 MADMAX
 1979年映画作品

 作曲:Brian May ブライアン・メイ

●1).ORIGINAL MOTION PICTURE SOUNDTRACK
 オリジナル・モーションピクチャー・サウンドトラック



●全19曲・88分
●極私的アルバム評価  
所有しておりません(2021年追記・所有し、上記に評価しました)

・筆者(youon)はサントラを所有しておりません。したがいまして、本編より音楽を考察することになります。「マッドマックス」第1作目の作曲は「2」と同じブライアン・メイです。本編を聞く限りでは「2」と同様、重量級のサウンドがドドドドと迫力で迫ってます。が、「2」とは違い、「1」は本編の内容が内容ですで(演出がまだ素人臭い)、どこに効果的に音楽を入れてよいのやら困惑している感じもあります。サントラを所有したいですがプレミア価格で手が出ません。




「マッドマックス2」 
 MADMAX 2
 1981年映画作品

 作曲:Brian May ブライアン・メイ

●2).ORIGINAL SOUNDTRACK
 オリジナル・サウンドトラック
 日本版LPジャケット↓



●全9曲・94分(amazonより。曲数分数違い盤有り)
●極私的アルバム評価  
★★★★★

・傑作です。ジョージ・ミラーの演出が「1」と打って変わって優秀で、メリハリが効いているので、音楽もメリハリがバッチリ効いて迫力充分。時折の哀し気な旋律がマックスの虚無感を表現している。そして名台詞に名曲のラスト・・。

 余談ですが、公開当時LPで映画題名を告げず友人にこのサントラを聞かせたところ、「原始人が大群で迫ってくるみたいだ」と言い(ある意味、的を射ている)、原始人の真似をして躍ったね。




「マッドマックス サンダードーム」 
 Mad Max Beyond Thunderdome
 1985年映画作品

 作曲:Maurice Jarre モーリス・ジャール
 主題歌/エンドタイトル 歌・Tina Turner ティナ・ターナー

●Limited Collection's Edition
 THE COMPLETE MOTION PICTURE SCORE
 リミテッド・コレクションズ・エディション
 ザ・コンプリート・モーションピクチャー・スコア



●2CD 合計全35曲・62分+60分
●極私的アルバム評価  
★★★★★

・実は筆者(youon)は、この記事を書く2週間ほど前に上記のアルバムを購入しました。「アラビアのロレンス」以外は苦手なジャールですので、だいぶ迷いましたが、このヴォリュームに惹かれ買いました。良かったですね。正解でした。

 このアルバムには入っていませんが、ティナ・ターナーの主題歌、エンドタイトルの歌もなかなか魅力です。

 先日、本編を録画で見直したときに、「このティナの曲は確かに所有してたな・・」と思いました。多分、公開時のサントラを購入検討した時、自分がジャールに引いてしまっていたので購入せず、後にレコードレンタルでテープ録音をしていたのではなかったかと思い起こします。

 当初のサントラはジャールの曲が4曲ほどとティナの歌が3曲入っているだけのモノでした。
 さて、このリミテッドエディションのジャールの2枚組です。ジャールに慣れれば、迫力の2時間、上品な出来上がりです。

 モーリス・ジャールの曲造りについて少し申し上げましょう。
 ジャールは1曲の中に違った印象の旋律をいくつも組み入れるのです。多分、映像に合った作り方をしたものと思えますが、例えば8小節、A旋律を聞かすと、脈略無くB旋律が入り、C旋律に移り、A旋律に戻ることは滅多にない。

 ですので、A旋律に惹かれる間もなく次のテーマになってしまうので、とっつきにくいんです。全てとは言いませんが、他のジャールの作品もほぼこの手法を取っています。

 今回、この2枚組を購入して、とにかく聞いて聞いて聞きまくりました。自分をジャールに慣らすために・・。その結果、優秀。いいアルバムです。




「マッドマックス 怒りのデス・ロード」 
 Mad Max: Fury Road
 2015年映画作品

 作曲:Junkie XL ジャンキーXL

●4).ORIGINAL MOTION PICTURE SOUNDTRACK
 オリジナル・モーションピクチャー・サウンドトラック



●全17曲・71分
●極私的アルバム評価  
所有しておりません(2021年追記・所有し、上記に評価しました)

・筆者(youon)の映画「マッドマックス 怒りのデス・ロード」の音楽についての見識はトップの文面に述べたとおりです。したがいまして多くを申し上げる事はできません。

 ただ、筆者(youon)は、今作本編を鑑賞しており、録画もしていますから、本編上の音楽はいつでも確認できます。その範疇で言えば、アクションシーンに激しい音楽が付いているといった印象はありません。繰り返しますが前半のカーアクションには音楽が付いてないと認識しています。

 したがって、迫力のあるサウンドを期待してサントラを買おうとは思ってはいません。機が熟したら手に入れたいと思います。サントラを手にしたら手にしたで、印象は変わるかもしれません。

 
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