● ピンクの豹   
The Pink Panther の音楽について
●全16曲
●極私的アルバム評価 
★★★★
●このアルバムについて
 名盤です。と申しますか、映画、劇中曲のサウンドトラックとしてではなく、スコアの『ヘンリー・マンシーニ、ムードミュージックの世界・1963年・ピンクパンサー版』としてですね。
 実際、このアルバムに収録されている曲は、全部違う曲で、1曲1曲が立っています(良く出来ているということ)。
 実際の映画に使われている曲は、テーマ曲をアレンジした曲など多様で、このアルバムにあるような単一的なものではありません。が、60年代前半のイージーリスニング曲集として捉えれば、それはそれで、名盤と言えるでしょう。
 ちなみに筆者(youon)が持ってるLP盤よりもCD盤は、下記の曲が多いです。
13. The Return Of The Pink Panther (Parts I & II)
14. The Greatest Gift (Instrumental)
15. Here's Looking At You Kid
16. Dreamy
●「ピンクの豹」タイトルバックについて
 アラビア風な宮殿の中で、宝石「ピンクパンサー」の紹介がなされ少女に宝石ピンクパンサーの首飾りをかけるところから、おなじみ(と言っても今回が初回だが)のピンクパンサーのアニメーションをバックにヘンリー・マンシーニのピンクパンターテーマ曲がかかる。
 驚いたことにこのタイトルバックに掛かる曲は主旋律こそサントラスコアと同じだが、編曲が全然違います。アニメーションに合わせ違う旋律や効果音のように音が鳴ったりと実に多彩です。
 この曲を収録しているアルバムははたしてあるのでしょうか? 同じことが本編の音楽にも言えます。

「ピンクパンサー The Pink Panther」
映画シリーズについて
 筆者(youon)の年代で、このシリーズをリアルタイムで意識したのは、「ピンクパンサー2」からですね。あの名作「ピンクの豹」の待望の続編といった触れ込みだったと記憶します。すでにその頃ではあのピンクパンサーのアニメキャラが定着していて、「ピンクパンサー2」の出現はすんなりと受け止められました。
 ところが「ピンクパンサー2」公開中か、公開後に、「ピンクの豹」以外にもピンクパンサー絡みの映画があり、「ピンクパンサー2」は、実質の「2」ではないことが知らされ、実際、邦題は「2」ですが、原題は、「The Return」です。
 その後の「ピンクパンサー3」もヒットして、多分、この頃、70年代後半に、有楽町スバル座で、過去のシリーズを2本立て週替わりで上映しました。確か下記のようなプログラムだったと記憶します。
1週目・「ピンクの豹」+「パーティー(ピーター・セラーズ主演のコメディ)」
2週目・「暗闇でドッキリ」+「クルーゾー警部」
3週目・「ピンクパンサー2」+「ピンクパンサー3」
 筆者(youon)は、3週目の作品はすでに見ていましたので、1週目、2週目で各作品を鑑賞しました。
 その後の「ピンクパンサー4」がヒットしたという記憶はなく、「X」は確か未公開、「5」や「息子」も話題にもならず、ビデオレンタルで見られるかもといったところでした。

 近年(2010年頃)、ピンクパンサーシリーズの2本立てパッケージDVDが安価で販売され、「ピンクの豹」、「暗闇でドッキリ」、「3」、「4」、「X」を所有、「5」はレンタルで鑑賞しました。「息子」は多分未見です。
 どこで見たのか失念しましたが(多分wowowのドキュメンタリー)、ピーター・セラーズの私生活の色ボケぶりや、ブレーク・エドワーズの「ピンクパンサー」に対する執着ぶりが描かれていました。(追記・映画は『ピーター・セラーズの愛し方~ライフ・イズ・コメディ!』で、実録映画ですね)。

 確かにこのピンクパンサーシリーズは、主演のピーター・セラーズで持っており、その主役が「4」を最後に亡くなっているのに、さらにその後、3本も作ってしまうのは、いかがなものでしょう。

 2006年にリブート版として、新ピンクパンサーシリーズが、スティーヴ・マーティン主演で作られ、この新「ピンクパンサー」がなかなかよろしい出来で、スティーヴ・マーティンもはまっていて新シリーズが期待されましたが、新「2」で失速してしまいましたね。残念です。

●「ピンクパンサー The Pink Panter」映画シリーズ 
 ・オリジナルポスター・日本版ポスター

・ピンクの豹
 
The Pink Panther
製作:1963年 米 監督:ブレイク・エドワーズ
音楽:ヘンリー・マンシーニ
出演:デヴィッド・ニーヴン、ピーター・セラーズ、ロバート・ワグナー、キャプシーヌ、クラウディア・カルディナーレ
●極私的感想
ロマンチックコメディとして優秀。ドタバタコメディとしても良。クルーゾー警部はこの作品時点では脇役。



・暗闇でドッキリ
 
A Shot In The Dark

製作:1964年 米 監督:ブレイク・エドワーズ
音楽:ヘンリー・マンシーニ
出演:ピーター・セラーズ、エルケ・ソマー
●極私的感想
「ピンクの豹」からクルーゾー警部を主役としたスピンオフ作品だが、後のシリーズのひな型となる。タイトルバックにピンクパンサーとテーマ曲は無く、クルーゾー警部のアニメと「暗闇でドッキリ」のテーマ曲になる(この曲もなかなか聞かせます)。作品自体も面白い



・クルーゾー警部

Inspector Clouseau
製作:1968年 米 監督:バッド・ヨーキン
音楽:ケン・ソーン
出演:アラン・アーキン、フランク・フィンレイ
●極私的感想
スバル座の特別上映で鑑賞しただけですが、面白かったです。アラン・アーキンのクルーゾー警部もなかなか決めていました。



・ピンク・パンサー2

The Return of the Pink Panther
製作:1975年 英 監督:ブレイク・エドワーズ
音楽:ヘンリー・マンシーニ
出演:ピーター・セラーズ、クリストファー・プラマー
●極私的感想
本作よりピンクパンサーのアニメと曲が復活、本格的シリーズ化しますが。本作自体、筆者(youon)はあまり面白いとは思いませんでした。



・ピンク・パンサー3

The Pink Panther Strikes Again

製作:1976年 英 監督:ブレイク・エドワーズ
音楽:ヘンリー・マンシーニ
出演:ピーター・セラーズ、レスリー=アン・ダウン
●極私的感想
クルーゾー警部を憎むドレフュス元主任警部が悪の組織の要塞を作るなど、007のパロディを含めてスケールアップ。大娯楽作に仕上がった。この作品がシリーズトップかも。



・ピンク・パンサー4

Revenge of the Pink Panther
製作:1978年 英 監督:ブレイク・エドワーズ
音楽:ヘリー・マンシーニ
出演:ピーター・セラーズ、バート・クウォーク
●極私的感想
ピーター・セラーズ生前に作られた最後の作品。舞台は香港になり、クルーゾーのギャグも健在だが、いささか印象が薄い作品。



・ピンク・パンサーX

Trail of the Pink Panther

製作:1982年 英 監督:ブレイク・エドワーズ
音楽:ヘリー・マンシーニ
出演:ピーター・セラーズ、デヴィッド・ニーヴン、ハーバート・ロム
●極私的感想
前半は過去作のカット場面を繋いで、後半のクルーゾー失踪後は、過去作の名場面を出したピーター・セラーズの追悼作品。それを分かった上で鑑賞すれば楽しめる。



・ピンク・パンサー5 クルーゾーは二度死ぬ

Curse of the Pink Panther

製作:1983年 英 監督:ブレイク・エドワーズ
音楽:ヘリー・マンシーニ
出演:テッド・ワス、デヴィッド・ニーヴン、ロバート・ワグナー、ロジャー・ムーア
●極私的感想
実質主役のテッド・ワス演じるスレイ刑事のキャラが全く立っていません。クルーゾーのギャグを真似して面白くなる訳がない。残念な出来。



・ピンク・パンサーの息子

Son of the Pink Panther

製作:1993年 米・伊 監督:ブレイク・エドワーズ
音楽:ヘリー・マンシーニ
出演:ロベルト・ベニーニ、ハーバート・ロム、バート・クウォーク、クラウディア・カルディナーレ
●極私的感想
残念ながら未見です。日本では劇場未公開、DVD未発売、ビデオのみとのことです。



・ピンクパンサー

The Pink Panther
製作:2006年 米 監督:ショーン・レヴィ
音楽:クリストフ・ベック、ヘンリー・マンシーニ(テーマ曲)
出演:スティーヴ・マーティン、ケヴィン・クライン、ジャン・レノ、ビヨンセ
●極私的感想
新クルーゾー警部をスティーヴ・マーティンのコメディでキャラ立てしたのが大成功。映画としてもクライマックスをビヨンセの歌に持ってきたのも吉と出た。並行製作でカットされたピンクパンサーのCGタイトルバックも最高の出来。何度見ても飽きません(DVDに収録あり)。



・ピンクパンサー2

The Pink Panther 2
製作:2009年 米・仏 監督:ハラルド・ズワルト
音楽:クリストフ・ベック、ヘンリー・マンシーニ(テーマ曲)
出演:スティーヴ・マーティン、ケヴィン・クライン、ジャン・レノ
●極私的感想
クルーゾー警部の恋愛話が話の中心となり、コメディとしてはあまりノレない一編となってしまった。



●ピンクパンサーオフィシャルサイト=http://pinkpanther.co.jp/ 

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