●「ミッション・インポッシブル」MISSION IMPOSSIBLE 映画シリーズについて |
ご存知のように「MISSION IMPOSSIBLE」の大元は、アメリカのTVドラマ「スパイ大作戦」(MISSION IMPOSSIBLE)。アメリカでは1966年から1973年まで、毎回1時間枠で全171話放送されました。トム・クルーズの「ミッション・インポッシブル」は、このTVシリーズの映画化です。
日本では、上記TVシリーズを「スパイ大作戦」のタイトルで、1967年から放送し、時を経て、現在(2017年時点)、BS-JAPANで再放送が行われています。
映画版は、今回のトム・クルーズ版が初めてではなく、TVエピソードの「黒の壊滅命令(前編・後編)」を再編集したものが『スパイ大作戦/薔薇の秘密指令』の邦題で1968年に劇場公開されています。(左・映画版ポスター)
その後、TVシリーズは、「新・スパイ大作戦」として、アメリカでは、1988年 - 1990年、全35話放送。日本では1991年、全話放送されました。 DVDは第7シーズンまで、日本版として全話発売されています。
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俳優のトム・クルーズは、元キャスティング・エージェントのポーラ・ワグナーと共に、「クルーズ/ワグナー・プロダクションズ」を1993年に設立します。その後の監督などのスタッフの選定も当プロダクションが実権を握ることになります。
そして、「クルーズ/ワグナー・プロダクションズ」の第1回映画作品が、「ミッション・インポッシブル」であります。
「クルーズ/ワグナー・プロダクションズ」(つまり、トムクルーズ)が、どのような経緯で「スパイ大作戦」の映画化権を取ったのかは、筆者(youon)は知りません。知りませんが、結果的に大吉と出たと同時に、不安要因も多少抱えることになる。
まず「吉」は、第1作への他方面メディアからの力の入れ方。あえて(?)ラロ・シフリンを飛ばして、さらにアラン・シルベストリを外して、U2プロデュースなど多方面から音楽戦略をしました。筆者(youon)個人的には音楽面に不満はありますが、まあ、映画興行、作品の出来も含め、結果は大成功でしょう。
そして、1作目の成功の要因は、1流監督、ブライアン・デ・パルマ、そしてジャン・レノなど各新進気鋭俳優、ベテラン、ジョン・ボイドなどの起用、イーサン・ハント(トム・クルーズ)のキャラ設定をしたことでしょう。これが続編へと繋がっていった。詳しくは後述しましょう。
不安材料は、1作目で、TV版の実質主人公だった、「フェリップス君」を悪役にして殺してしまい、2作目以降は、トム・クルーズ演じるイーサン・ハントのシリーズ、「トムの俺様映画」になってしまったこと。これはTVシリーズのコンセプトと大幅にズレます。
現在(2017年)、6作目を撮影中ですが、トム・クルーズがスタントもご自分でやられてるとのことで、”大丈夫か?”と心配になります(ジャッキー・チェンじゃないんだから・・)。
今、書いていて気が付きましたが、映画は1作目で「フェリップス君」は死んでますが、TVシリーズだってリーダーが別々のシリーズで居て、演じる俳優も違っていたんだから、案外「おはよう、フェリップス君」のテープの前にトム・クルーズが居てもおかしくはないですね。イーサン・ハントは名が知れたから改名したとか、いくらでも理由付けはできる。それに「イーサン・ハント」は、「ジェームズ・ボンド」と違って、ブランドになってませんよ。 いずれにせよ、シリーズの骨組みはしっかり出来てるし、今後も期待できるシリーズであることは間違いないでしょう。サイモン・ペグの起用で陰陽のバランスも取れました。
●「ミッション・インポッシブル」MISSION IMPOSSIBLE 映画シリーズ
●第1作目
「ミッション・インポッシブル」MISSION IMPOSSIBLE
オリジナルポスター |
日本版ポスター |
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製作:1996年 米
監督・ブライアン・デ・パルマ
音楽・ダニー・エルフマン
●主な見せ場
・プラハでの作戦失敗、爆発、水槽爆破。
・CIA潜入、ロープでぶら下がる。
・高速列車とヘリのチェイスアクション。
●極私的感想
この第1作目の成功は、まず、ベテラン映画監督、ブライアン・デ・パルマを起用したこと。
それによって、ミステリー色が強い内容が生き、アクションシーンもしっかり魅せ、ブライアン・デ・パルマ得意の映像マジックも堪能することができた。
出演者も製作者であるトム・クルーズはもちろんのこと、当時、新進気鋭であったジャン・レノ、脇にベテラン、ジョン・ボイド、ヴァネッサ・レッドグレーヴ、若手ベテラン、エミリオ・エステヴェスなどの起用が成功している。シリーズとしての基盤はまだ確立してはいないが、アクションミステリー映画としてのレベルは高い。
●第2作目
「ミッション・インポッシブル2」M:i-2
オリジナルポスター |
日本版ポスター |
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製作:2000年 米
監督・ジョン・ウー
音楽・ハンス・ジマー
●主な見せ場
・製薬会社での銃撃戦。
・要塞での鳩がらみ銃撃戦。
・バイクアクロバットアクション。
●極私的感想
当時、監督のジョン・ウーは新進気鋭のヒット監督でありました。トムのプロダクションがこの時点でジョン・ウーを起用したことは納得はします。しますが、すでにこの時点で、ジョン・ウーの独特の演出にアレルギー反応が観客含めた映画界にあった事は事実で、案の定、今作品で、ジョン・ウーの欠点が、見事に表現されてしまっている。
ジョン・ウーの欠点とは、『格好つけすぎるとかえって格好が悪くなる』ということ。「M:i-2」のトム・クルーズ登場シーンは休暇でのロッククライミング。ここでトムは通常人なら不可能とも言える超人技をサラッと見せてしまう。クライミングのプロなら可能な技ではあるが、これでは主人公イーサン(トム)が何でも出来るスーパーマンに見えてしまう。
終盤のバイクアクションも、迫力と言うよりも、バイクによるダンスパフォーマンスに見えてしまう。必然性もなく鳩を飛ばし、映像美の押し付けです。
1作目やTVシリーズとはかけ離れた主人公の恋愛話。そしてフェイスマスクの変装をいとも軽々しく使っている。上司役でせっかく出演しているアンソニー・ホプキンスも最後まで悪人(というかハンニバル)にしか見えず、作戦自体が胡散臭く映る。映画評価としてはB級作品と言ってよろしいと思います。
●第3作目
「ミッション・インポッシブルⅢ」M:i:Ⅲ
オリジナルポスター |
日本版ポスター |
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製作:2006年 米
監督・J・J・エイブラムス
音楽・マイケル・ジアッキノ
●主な見せ場
・ベルリン工場での銃撃、爆破。
・ベルリンでヘリ、ミサイル戦。
・ヴァチカン侵入、変装、敵確保。
・橋での空中からの襲撃、応戦。
・上海でパラシュートアクション、続くカーチェイス。
・西塘(シータン)上海近郊の水郷地の裏通りを走り、店舗内での銃撃、格闘。
●極私的感想
今作で、当時、映画初監督であったJ・J・エイブラムスをプロダクションが起用した理由は、トム・クルーズが、J・J・エイブラム製作のTVシリーズ『エイリアス』の大ファンだったからということでありますが、実質は、J・J・エイブラムの映像作品におけるバランス感覚を見抜いたからだと推測します。
J・J・エイブラムに監督を任せれば、”キチンとしたモノができるだろう”という読みですね。実際、今作、『M:I:Ⅲ』は、シリーズ中、一番、バランス感覚のあるしっかりした娯楽作に仕上がってます。
J・J・エイブラムはこの後、『スタートレック』を監督し、『スターウォーズ・フォースの覚醒』も監督するという、人気シリーズをこれだけ多く監督できた人材は過去には少ないのではないでしょうか。さすがに『スターウォーズ』新シリーズまでは、力及ばずといった印象を筆者(youon)個人的には思っています。
今作『M:I:Ⅲ』は、脚本も良く出来ていて、物語の終盤のサスペンスシーンをあえて冒頭に持ってきた。そしてタイトルバック、過去にさかのぼり、イーサンの結婚話という主人公のプライベートを見せてきました。中盤からはフィアンセの奪還が話の軸となり、こういう展開は、TVシリーズを含め、あるようでなかった画期的なプライベート全面展開です。
敵役のデイヴィアン(フィリップ・シーモア・ホフマン)のキャラも際立っていて、イーサン(トム・クルーズ)が、フェイスマスクで変装したデイヴィアンも、実際にはフィリップ・シーモア・ホフマンが演じている訳で、フィリップ・シーモア・ホフマンがイーサンを演じているということとなり、このシチュエーションも見事であります。
フィリップ・シーモア・ホフマンは、2014年2月、ヘロインや、その他の薬物の過剰摂取により死亡。惜しい名優を亡くしました。
今作品はTVシリーズの軸であったチームワークを重視、各メンバーの活躍が見られたのは嬉しいですが、筆者(youon)個人的には、若いジョナサン・リース=マイヤーズの活躍ももっと見たかったと思います。今後のシリーズにまた登場して欲しいと思ってはいますが、難しいでしょうね。
●第4作目
「ミッション・インポッシブル ゴーストプロトコル」 MISSION IMPOSSIBLE– Ghost Protocol
オリジナルポスター |
日本版ポスター |
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製作:2011年 米 監督・ブラッド・バード 音楽・マイケル・ジアッキノ
●主な見せ場 ・ブタペストでの銃撃戦、女殺し屋の登場。
・モスクワの刑務所からイーサン脱出。 ・クレムリンへの侵入、脱出、爆発。 ・ロシアの病院、脱出。 ・車への銃撃、川からの脱出。 ・ドバイの高層ビル、クライミング。 ・上階下階でのなりすまし同時取引のサスペンス。 ・ドバイ、砂嵐の中の追跡、カーチェイス。 ・ムンバイの高架駐車場での格闘。
●極私的感想
アクション映画のジャンルにおいては、傑作と言って過言でない作品。核ミサイル発射を企む敵を阻止するという単純な話の軸だが、レア・セドゥ演じる女殺し屋(好演)や、ロシア警察の追跡など、話は枝葉に分かれ複雑になるが、考えさせる暇を与えないほど見せ場が続き、画面から目を離させない。現場チームに参加することになったベンジー(サイモン・ペッグ)のコメディ部分や、謎を抱える分析官ブラント(ジェレミー・レナー)の話も生きている。
前作で脚本・監督を担当したJ・J・エイブラムスが、今作の製作を担当した功績もあると推測します。ラストのイーサンの妻登場で、前作(『M:i:Ⅲ』)と繋がっていることが明白となり、いいラストシーンを作り上げた。
●第5作目
「ミッション・インポッシブル ローグ・ネイション」 Mission: Impossible - Rogue Nation
オリジナルポスター |
日本版ポスター |
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製作:2015年 米 監督・クリストファー・マッカリー 音楽・ジョー・クレイマー
●主な見せ場 ・ベラルーシの飛行場で輸送機張り付きスタント。 ・尋問室より脱出。 ・ウィーン、オペラ会場での格闘、銃撃。 ・水中データー倉庫侵入。 ・野外レストラン、ベンジー人質爆弾サスペンス。 ・バイクとのカーチェイス。バイクアクション。
●極私的感想
製作に中国資本が入った今作、巷(ネット等)の評判はたいへんよろしいが、これは宣伝に相当力が入ったためだと筆者(youon)は推測しています。
監督のクリストファー・マッカリーは、同じくトム・クルーズ主演の『アウトロー』で、70年代アクション映画を彷彿させる秀作アクションを作り上げたが、今作の出来は、今一歩という感じです。
トム本人がスタントした最大の見せ場、輸送機飛び立ちも、「トム本人が危険なことをやっている」というエクスキューズが無ければ、ただ輸送機が飛んでいる映像にしか見えず、また、この最大の見せ場のシーンをタイトル前に持ってくるという手法は、007シリーズを彷彿させ、ミッション・インポッシブルらしさは感じられません。
金属は探知するが、人間のような大きな物体が入っても探知しない口が大きく開いた水槽は、説得力がなく、アクションにキレも見られません。サイモン・ペグのコメディ部分やラストのカーアクションがそれなりに魅せているのが救いです。
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●第6作目
「ミッション:インポッシブル/フォールアウト」
Mission: Impossible – Fallout
オリジナルポスター |
日本版ポスター |
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製作:2018年 米 監督・クリストファー・マッカリー
音楽・ローン・バルフ
●主な見せ場
●極私的感想
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