■ 番外編2作品 ■
 
■ 番外編 007 カジノロワイヤル 
Casino Royale
 1967年 英
監督/ジョン・ヒューストン、ケン・ヒューズ、ロバート・パリッシュ、ジョセフ・マクグラス、ヴァル・ゲスト
製作/チャールズ・K・フェルドマン
脚本/ウォルフ・マンキウィッツ、ジョン・ロウ、マイケル・セイヤーズ
音楽/バート・バカラック
シンガー/ハーブ・アルパート&ザ・ティファナ・ブラス
撮影/ジャック・ヒルデヤード
編集/ビル・レニー
美術/マイケル・ストリンガー
タイトル・デザイン/リチャード・ウィリアムズ
 
●舞台/イギリス、他、各地
●敵/ル・シフル(オーソン・ウェルズ)
●ボンドガール/ヴェスパー・リンド(ウルスラ・アンドレス)
 当初イオンプロが版権持てなかった原作をイオンの007シリーズの大盛り上がりに乗っかって映画化した1作。
 筆者(youon)は、この時代実感として知りませんので、体験としては述べられませんが、この作品のパロディコメディ作風は、イオンの逆手を取った訳ではなく、当時の映画作風の地盤としてあったのではないかと思われます。
 やはりバート・バカラックが音楽を担当した1965年製作のコメディ映画「何かいいことないか子猫ちゃん」に代表されるような、60年代、中・後半のポップカルチャーとして見たほうがよろしいと思います。

 当然、「ボンド映画」にはなってないので、イオンのシリーズを基準とした評はできない。
 コメディとしてはドタバタしてるだけで大して面白くないが、バート・バカラックの音楽は優秀。 「恋のおもかげ」は傑作中の傑作! シーンもいい。

 007役は何人もいて、代表的なところで、ボンド卿として、デヴィッド・ニーヴン。007にピーター・セラーズなど。
●極私的注目点
・ジャン・ポール・ベルモンドのゲスト出演。
  
カジノロワイヤル
 
■ 番外編 ネバーセイ・ネバーアゲイン 
Never Say Never Again 
1983年 米
監督/アーヴィン・カーシュナー
製作総指揮/ケヴィン・マクローリー
製作/ジャック・シュワルツマン
脚本/ロレンツォ・センプル・ジュニア
音楽/ミシェル・ルグラン
シンガー/ラニ・ホール
撮影/ダグラス・スローカム
編集/イアン・クラフォード
制作デザイナー/スティーブン・グライムズ、フィリップ・ハリスン
●舞台/イギリス、地中海
●敵/ラルゴ(クラウス・マリア・ブランダウアー)
ブロフェルド(マックス・フォン・シドー)
●ボンドガール/ドミノ・ペタッチ(キム・ベイシンガー)
 ”ブロフェルド”、”スペクター”の原案者であることを主張するケビン・マクローリーが、共同執筆したとされる「サンダーボール作戦」を、イオンプロとは別にリメイク制作した作品。

 長年のイオンプロの宿敵マクローリーがコネリーを製作に加え、満を持して発表した作品が”これかよ?”という出来。コネリーの健闘は目立つものの、普通のアクション映画に収まった。

 イオンプロの作り上げた定番のパターンは押さえているものの、職人監督カーシュナーの演出には力が無く、気の抜けたシーンが続く。
 唯一コネリーのタンゴや、バイクシーンに気迫が見られ、これらはコネリーの演技力に負うところが大きい。
 法的に「サンダーボール」の話から抜け出ることは不可能で、新たな世界観作り上げることはできなかった。

 ミッシェル・ルグランの劇中曲は精彩に欠けるが、タイトルバックの主題曲はベスト版に入れたいほどの魅力的な曲になっている。

 今から思うと「ネバーセイ」は、イオンプロの007を意識しすぎ。「サンダーボール」の粗筋から抜け出せないのはしょうがないにせよ、「ブロフェルド」は、製作者マクローリーが作ったと主張しているのであるから、ボンドとブロフェルドとの対面対決があってもよかった。ブロフェルド役にせっかくの演技派大物俳優、マックス・フォン・シドーを担ぎあげたのだから。
 クライマックスで、コネリーとマックス・フォン・シドーの演技対決が見たかった。

 悪役のバーバラ・カレラは良かったが、クラウス・マリア・ブランダウアーは小物ぶりを露見させた。

以下、wikiより。
公開に合わせて来日したコネリーは記者会見の席で、本作の出来を質問され「100点満点中60点」だと発言した。会見に同席した戸田奈津子が通訳した模様も含め「2時のワイドショー」等で放送された。
 同じ記者会見の席で、コネリーはその点数の理由として「スタッフがボンド映画の製作に不慣れであったこと」を挙げている。
●極私的注目点
・敵、ファティマ(バーバラ・カレラ)の熱演。
・ボンドのバイクアクション。

  
ネバーセイ・ネバーアゲイン
 
■ TVドラマ版・1作品 ■  
 
■ TVドラマ版  カジノ・ロワイヤル 
Casino Royale 
1954年 米 
TV番組「CLIMAX!」の一話

監督/ウィリアム・H・ブラウン・ジュニア
製作/CBS放送
原作/イアン・フレミング
52分、モノクロ
●舞台/モンテカルロ
●主演/ジミー・ボンド(バリー・ネルソン)
●敵/ル・シッフル(ピーター・ローレ)
 イアン・フレミングのジェームズ・ボンドの物語が初めて映像化された作品。そのため本来の初代ジェームズ・ボンドは、バリー・ネルソンということになりますが、役名が、ジミー・ボンドで、アメリカ人という設定であるなど、フレミングの正当な映像化とは言いがたいものがあります。

 筆者(youon)は、近年になって、有料放送の「イマジカBS」で、満を持して拝見しました。1954年当時の普通のアメリカのスタジオドラマですね。話はカジノ内でのギャングとの喧嘩です。発砲も殴り合いも拷問も敷地内で、特出した見せ場がある訳でもないです。ただ、いかにも悪役然としたピーター・ローレが目立ってました。原作の持つスリリングな展開は映像化できていません。

 注目すべきは、この映像化が小説発表直後だということ。小説「カジノ・ロワイヤル」の映像化権利をフレミングが早々と売ってしまったことは有名ですが、そこら辺の細かな逸話が出てる資料は拝見したことはありません。

 当初、フレミングは、自作の映像化権を次々と売ってしまい、後に、イオンプロがそれら権利を回収するのに苦労したといった話は、何かの資料で見た覚えはあります。
 今でこそ、映画の007シリーズで、フレミングは大家のようなイメージですが、初期のマクローリーらとの共作や、後期のTV向け短編の執筆(出版)、後期の長編作が精彩に欠けることなど、いささか足元がおぼつかない。

 以前、原作ファンの方とお話ししましたが、フレミングのピークは「ロシアから愛をこめて」であり、絶頂期はその頃の3年間ほどではないかという話になりました。
●極私的注目点
・原作者・イアン・フレミングの姿勢。
 
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