1997年の「トゥモロー・ネバー・ダイ」で、デヴィッド・アーノルドがボンド映画の作曲家としてデビューする前のアルバムですから、'96年かそこらに制作されたアルバムでしょう。いずれにせよもう20年も経つなんて信じられませんわ。
このアルバムは、デヴィッド・アーノルドが、サントラとは別に、過去のボンドミュージックをリメイク、プロデュースしたモノです。
今まで「このアルバムがヒットしたので、アーノルドがイオンプロに採用されたのだろう」と思っていましたが、なんかレコード店がイオンプロにアーノルドを紹介したとネットに書いてあった。ホントかね?
まあとにかく、過去にボンドミュージックを別演奏したアルバムはありましたが、元の曲を超えるなんてことはなかったですよ。それまでは全てイミテーションだった訳。
ところがこのアルバム、「Shaken And Stirred」は、元ネタを超えようとする意気込みがありますよね。そして実際、超えちゃった曲もある。
★は4つ付けてます。これね、当時のインパクト考えるとぶっちぎりで★5つですわ。しかし、今、冷静に聞くと、「もっと出来ただろ」と思うんですよね。曲数も11曲で少なめです。あと2曲は欲しかった。そんな訳で実質★5つで★は4つです。
1曲1曲、全部言います。編曲度数は%で。10%なら「原曲を少し変えただけ」。120%なら「原曲に無かった以上のモノがある」ということです。
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1 Diamonds Are Forever (feat. David McAlmont) 3:52 「ダイヤモンドは永遠に」 30% 原曲のシャーリー・バッシーには悪いが、歌はこっちの方が上手いんじゃないかと思う。アレンジもいい。
2 Nobody Does It Better (feat. Aimee Mann) 4:26 「ノーバディ・ダズ・イット・ベター(私を愛したスパイ)」 30% テクノ風味を入れ込んで上手く行ってる。
3 Space March (feat. Leftfield) 5:31 「スペースマーチ(007は二度死ぬ)」 50% 「スペースマーチ」という名の曲はサントラ盤には無い。一部のボンドミュージックコピーアルバムが使用してる名称。 4 All Time High (feat. Pulp) 4:32 「オール・タイム・ハイ(オクトパシー)」 40% 男性歌手が独白風に歌う。
5 Moonraker (feat. Shara Nelson) 3:57 「ムーンレイカー」 20%
6 The James Bond Theme (feat. LTJ Bukem) 6:59 「ジェームズ・ボンドのテーマ」 90% ほとんど原曲の影が無く、「これがジェームズ・ボンドのテーマです」と言われれば、雰囲気はあります。
7 Live And Let Die (feat. Chrissie Hynde) 2:43 「死ぬのは奴らだ」 20%
8 Thunderball (feat. Martin Fry) 4:15 「サンダーボール作戦」 30% 9 From Russia With Love (feat. Natacha Atlas) 3:12 「ロシアより愛をこめて」 20% 歌手が女性になっただけで雰囲気、編曲具合もほぼ原曲どおり。
10 On Her Majesty's Secret Service (feat.Propellerheads) 9:25 「女王陛下の007」 120% 「女王陛下の007」自体テクノ風味でバッチリ決めて、ヘリのSEもノリノリ。驚くべきは間にまるまる「スペースマーチ」が入り込んで別の曲にしている。
11 We Have All The Time In The World (feat. Iggy Pop) 3:44 「愛はすべてを超えて」 20% 曲の編曲はほとんどないが、歌が原曲のルイ・アームストロングような癖は無いので、だいぶ印象は変わる。
今回、ネットで調べたら「日本版のみ12曲入り(合計56分)で「ジェームズ・ボンドのテーマ」のオーケストラ・バージョン(新録)も収録」とのこと。筆者(youon)が買ったのはUK盤だったからそれ入ってないです。失敗した。この20年、知らなかった。
(2017年執筆、2021年レイアウト変更)
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