バンコク淫乱旅行
(2003年の記事を2022年校正)
Thailand Bangkok


 アジア一番のゲイ歓楽街と言って良いバンコク。日本のゲイにもお馴染みのこの都市のゲイ雑誌『薔薇族』掲載記事です。(南島健太郎)

 まあとにかく、このバンコクがゲイにとって世界で一番面白いところかもしれません。昨年から集中的に世界各地のゲイプレイスを廻っている筆者のゲイ旅行、近年に限らず過去の経験からでもやっぱりこのバンコクがモースト・エキサイティング。東京の6倍は面白い、アムステルダムの4倍ぐらい、シンガポールの3倍ぐらい(筆者比)。

 世界ゲイガイドブックの『スパルタカス』バンコクの項目は、シーロムロード・エリアなど4つのエリアに分けて案内され、エリア全部を合計すると、バンコクにはバーが60店ほど(この中にはヌードショーのゴーゴーバーも多くあり)、クラブが5店、ゲイサウナが18軒、ゲイホテルが5軒、マッサージが6店など載っています。

 これらは『スパルタカス』の趣旨として、外国人が問題なく行けるところです。ネットの情報では現地タイ人のコアな情報として、この倍近くの場所が案内されています。

 さて今回、筆者のバンコク旅行は、96年、99年に続いて3回目、3年ぶりの訪問となります。タイでは2001年に大規模な風俗取り締まりがあり、ゲイサウナへの警察官立ち入りや純粋なサウナ営業への指導、全裸ゴーゴーショーの規制などがあり、その影響で一時期、タイ・ゲイ産業の危機がささやかれたりしました。

 当時、評判の高かった豪華ゲイサウナ『オベリスク』が閉店してしまったり、ショーやゲイサウナも当局の顔色を伺いながら営業をするなどのデメリットもありました。現在、取り締まりの余波は(全裸デーの回数を減らすなど)あるものの、バンコクのゲイ産業は力を取り戻しています。

 ここはゲイ旅行者が充分満足できる都市には今も変わりなく、新しいゲイ施設も続々とできています。

 バンコクのそこかしこのゲイ施設には英文のゲイマップが置いてあります。東西南北8キロほどの広い地域のゲイ施設が網羅され、いくつかの地域が詳しく書かれています。ちょっと見づらくて使いにくいのが難点ですが、載っかっている広告が大いに参考になるでしょう。

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豪華さはやっぱり世界一!?
●バビロン Sauna Babylon ゲイサウナ

 2000年、『バビロン』は新しくなりました。「じゃあ、前の超豪華な物凄い建物はどうなっちゃったの?」とお思いでしょう。お答えします。「もう、ありません!!」。

 な、なんと、前の『バビロン』は、レストランとマンション(?)になってます(確認しました)。

 英断というか何というか、あの世界一のゲイ施設をあっさり放棄し、完全に新しいのを造っちゃってます! 開いた口がふさがらず、「『(旧)バビロン』行かずして死んではならん!」と言っていた筆者の立場は…?。

 まあ、『旧バビロン』に想い出たっぷりの方もいらっしゃるでしょう、97年にゲイ雑誌『薔薇族』で私が『旧バビロン』を(許可を得た)写真入りで精細レポートしております。

 その号には今は亡き『オベリスク』も(許可を得た)写真入りですからね、今となっちゃ貴重だワ(7年前…!)。

 で、本題。『(旧)バビロン』からさらに奥まった場所に『新バビロン』があります。一時期は『ニューバビロン』とか『バビロン2000』とかの名称でしたが、今はあの旧バビロンの歴史を引き継ぐ堂々の『バビロン』です。しかし前と違うのは、『バビロン』の名の脇に『Barracks バラックス』とか小さく書いてある。これはなんぞや?これホテルです。

 つまりバビロン【ゲイサウナ】とバビロン【ゲイホテル】が並んで建ってる…。至れり尽くせりのこの施設。またまた腰が抜けた!経営者の顔が見たい!

 やっぱりココ、世界一ではないだろうか?「ヨーロッパ一!のサウナ」と宣伝されているアムステルダムの『テルモスサウナ』の5倍(筆者比)ぐらい豪華! レストランの広さだけでも確実に5倍以上はある。

 ただ「前(旧)のバビロンの方が良かった」という意見もあります。筆者もある部分は同感。

 新しい『バビロン』はルーフ(屋上)が無いんですよ。ルーフでお酒やお茶飲みながらバンコク市内を展望し、モアっとした空気を味わいながら「バンコクだわぁ」という感傷に浸るってことが今後はできませんね。

 まあそれのみ残念だけど、後は『旧』に匹敵するセンスの良さと施設の充実、そして広さ。新しさも加わって館内は大いに活性していました。

 どこもかしこも迷路状態ですから、何人居るのかサッパリ分かりませんが、筆者が訪れた土曜の夜で300人は確実に居たでしょう。タイ人70%、西洋人20%、東洋系外国人10%、そんなところでしょうか。

 施設は言わずもがな、全てのゲイサウナ要素がトップレベルで揃っています。

 パンフレットには「ゲイのテーマパーク」と書いてある。まあ納得ですな。「でも、御家族は連れて来ないでください!」って書いてあるのは笑える。

 広いプールの脇のレストラン、クラブ、バー、トレーニングジム、そこらがくつろぎのスペース。ハッテンエリアは上階下階どこがどうなっているのか前のバビロン以上の迷路状態で、3時間うろつき廻っても把握するのが難しいでしょう。

 とくに面白いのが地階にある(らしき)真っ暗な迷路。勃起したチンコのオンパレードで触り放題、いじくられ放題。もちろんスチームサウナの迷路、ドライサウナ、迷路状態の個室群などなど…。

 タイではHIVをはじめとする性感染症が深刻な状況で、やはりそれを反映しているのでしょう、お客さんたちはセイフティーセックスに心掛けているのが分かりました。

 ここら辺、99年に訪れた時に比べ明らかに良い傾向になっています。セイフティーでも淫乱行為は充分できます。逆に出すまでやらないので取っ替え引っ替え数時間は楽しめますね。

 コミュニケーションを持ちたければ、クラブやバーのスペースに移れば良いでしょう。とにかくココは一度行ってみるべき。性交渉が苦手な人でもたっぷりくつろげるスペースがありますし、そのデザインやセンスを満喫するだけでも充分満足できる時間が過ごせることでしょう。

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気分良くくつろげる
●バビロン・バラックス Babylon Barracks ゲイホテル

 バラックスはサウナ・バビロンと隣り合わせにあるゲイホテル。正確に言うとひとつの建物の地下やガーデンを含めた下半分がサウナ・バビロンで、上半分がバビロン・バラックスと名付けられたゲイホテルという訳。

 入り口は完全に別になっていて会計やシステムも別です。サウナ、ホテル双方の行き来はできないようになっています。

 筆者は始め、日本の大型ゲイサウナのようにサウナ施設に個室が付いているシステムと勘違いし、バスタオルを巻いたサウナ仕様でレセプションに出向き、「サウナはどこですか?」などとのたまわり、お客さん、スタッフ共々の爆笑を誘ってしまった(赤っ恥ですね)。

 でもこれ、着いた早々、階段があったので降りて行ったらサウナだったんで、さっそく服脱いで再びその階段を行ったら、今度は閉まってる(従業員専用のため)。

 致し方ない事態ですよこれは。あの時、笑われたのが切っ掛けで、年輩のアメリカ人と仲良くなった。30年前に東京九段に住んでたんですって。

 このバビロン・バラックス・ホテル、空港のピックアップサービスがあります。専用業者に依頼するものなので、バビロンスタッフが空港に来るわけではありませんが、空港からここに行くまでの方法を思い悩むことなくスパッと行けるのはとにかくラク。

 このピックアップサービス、金額はコースがいろいろあるようでしたが、筆者は800バーツでした。

 部屋はシングル朝食付きで1200バーツ(約3700円)から。この金額は日本人にとっては手頃。で、このセンスの良い広いルームは大満足です。

 シングルルームとは言えベッドが2つあるというのが気が利いてるというか何というか。贅沢な筆者は、いちランク上の1700バーツのルームにしました(ミニバー、TV付き)。

 朝食はレセプションそばのラウンジ。各国ゲイのお客さんが和気藹々と食事を共にする。気の合いそうな人が居たら気軽に話しかけられる雰囲気があります。

 ホテル従業員はみんな良い感じ。片言日本語しゃべってる彼、なかなかタイプでした。僕の泊まった部屋の場合はシャワーが仕切付きの共同。誰もいないと思いカーテンをせずに使用し、気が付いたら若い東洋系のお客さんにマジマジと観られてた。けっこう気分いいかも。

 1泊あたり、サウナ・バビロンの入場券を一枚くれます。喫煙所が一番トップの展望ラウンジまで行かなくてはならないのがスモーカーの筆者にはちょっと痛い。最近愛煙家には過ごしにくい世の中です。とは言え、このバビロン・バラックス・ホテルはお勧め。気分いいことこの上ないです。

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リゾート気分満喫!
●チャクラン CHAKRAN ゲイサウナ

 バンコクに行くなら前出の『バビロン』とここは「ぜひ行ってみるべし」と言われている『チャクラン』、筆者は初めてでした。前回のタイ訪問の99年にはなかったから、2000年頃できた新しいところですね。

 その後バンコクにはいろんなサウナが続々とでき、今やこの『チャクラン』もけっこう老舗の部類に入っちゃってる。それだけ施設の良さに信用があると言うことです。さて、いったいどんなところなのでしょうか。

 スカイトレインのアーリー駅の3番出口を降りて西方向に徒歩7分ほど(途中看板表示で案内あり)、落ち着いた住宅地の一角にセンスのいい入り口が見える。

 筆者が訪れたのは午後2時だからオープンしたての一番乗り。まだスタッフしかいない館内を歩いていると30分もしない内に続々と人が増えてきました。

 おしゃれなレストランで食事をし、4時頃には4,50人にはなっていたでしょう。さすがゲイ観光コースの筆頭に当たるところであります。他のゲイサウナよりも東アジアンフェイスの人を多く目にしました。ホンコンやシンガポールの華人旅行者と思われます。筆者と同じで早い時間の訪問も旅行者の特徴ですね。

 1階は受付と広いバー、プール、ジャグジーなどがあって、迷路状態になっているスチームサウナはハッテンエリアです。ドライサウナもあり。2階はロッカーとレストラン、そしてプールが眺められるテラス。3階は迷路状態の個室群とダークゾーン、ジムの奥には階段があってビデオルームがあります(見落としやすいので注意)。屋上にはルーフガーデン。

 とにかくリゾート感覚できれいな造り、時間帯が早かったためかもしれませんが、イケイケの雰囲気にちょっとなりにくく、けっこうまったりしてしまう。食事がおいしく、素敵な午後のひとときが過ごせたという感じです。

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この盛り上がりは凄い!
●クルージングサウナ Crusing Sauna ゲイサウナ

 まあ今回のバンコクで一番面白かったのはココですワ。個人的な好みもあるでしょうが、筆者のタイプが100人以上、みんなチンコ勃たせて素っ裸、これが面白くない訳がありません!

 ネットでの外国人向けバンコクゲイガイドでは、ここの名前がかろうじて載っているだけで説明が無かったり、世界ゲイガイド『スパルタカス』2002年版には記載されてない(02年秋オープンのため)。

 ウェブサイトはタイ語でよく分からず、ゲイマップには広告も無しなど、いまいちココ、目立ってません。実際、日曜の夜、200人以上は居ただろうお客さんの中で西洋人はひとりも居ませんでした。まず全員がタイ人と思われます(筆者を除く)。

 中心年齢層は20代、タイプはスリムから普通体型。20時以降の4階と屋上は全裸タイム、4階に上がるところでスタッフにタオルを渡してしまうので隠しようなし。

 そこかしこで5,6人がかたまってチンコのいじり合い。薄明るい屋上では露出的な面白さもあり、勃起闊歩で悦には入ってる方々も(私もそのひとり)…。

 2階のバー、食事ゾーンでは食べ放題のディナータイムがあります。ドリンクは自由。新しい施設ですが造りはシンプル。とくに凝ってるわけでもセンスが良いというわけでもありませんが、まあー内容が良ければそんなこと半ばどうでもよいです。

 人がたくさんでノリがいい。入場料159バーツ(約480円)で食べ放題なんかやって、元が取れるんだろうかなどと余計なことを考えてしまうほどサービスも良かった。

 実はこの『クルージングサウナ』、以前は私、全然知りませんでした。「クルージングサウナ」という何の特徴もないネーミングで関心を向けていなかったのですが、ネットの日本人向けサウナガイド『あじあ男湯紀行』(2022年注・ウェブ閉鎖しています)で「今一番のHOTスポット」と案内されていたので行ってみたというわけ。

 いや、これホントでした。『あじあ男湯紀行』での文で「全裸タイムが始まった後は、良い意味でお客さんの住み分けができており、4階以上に上がってくる人は、皆ヤル気満々!いたるところで乱れ絡み、握りあえます」って書いてある。これ、まぎれもない事実。

 ここ知ってると知らないとではバンコクエンジョイにおいてエライ違いですワ。『あじあ男湯紀行』には心底感謝ですね。

 ココ、バンコク中心部からはけっこう遠い。ルンビニ公園からは北に9キロぐらいのところ。スカイトレイン北の終点モチット駅からでも3キロぐらい北にある。

 でもバンコク中心地から離れているとは言え、ここら辺はたいへん賑やかで楽しいところです。メイジャー・シネプレックスという最新式映画館ビルやショッピングセンターなど、バンコクの今を満喫できるエリアでしょう。

 『クルージングサウナ』の前の炉端で、堂々とノーカットの男性ヌード写真本が何種も売られていたのがたいへん印象的でした。「やっぱりバンコクは進んでる」と思った次第。またひとつバンコクの楽しみが増えました。

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エピソード
◆反省のハッテン?

 今回、筆者のバンコク訪問は、某国から用事で出掛けるための通過点として立ち寄った形です。そのため2晩しか時間がない。とにかく短い滞在で「出来るだけ行きたいところに行ってみよう」と考えていました。

 出発前の日本では滅茶苦茶忙しく、バンコクに到着した頃はすでにヘトヘト。そしてそのまま夜中まで『バビロン』で淫乱行為。次の日『チャクラン』4時間、今回は取り上げていませんが汗ダクダクで探し回って『ファロスサウナ』、そして『クルージングサウナ』に入場した頃はもう歩くのがやっとという状態。

 疲れマラの感度良好は昨日の『バビロン』で発射済みでしたので、ここまで来るとおざなりチンコ。『クルージングサウナ』へ行ったのは、半ば〈知識欲〉によるものという感じだったんです。

 ところがココ、前の項目で取り上げたように「筆者のタイプが100人以上、みんなチンコ勃たせて素っ裸」。こりゃあ、あなた!勃たさなソン!やらなきゃソン!でしょうが!

 そんなわけで貧乏性の私の脳はチンコを勃たせてくれるのだけれども、チンコ自体は昨日から酷使してるので、もうほとんど無感覚。開き直ってひとりで出来る屋上露出や人のチンコ適当に触ってたりしてたのでした。

・敵前逃亡!?

 で、何が言いたいのかというとですね、なんかとっても悪いことしたなぁ…という反省文なんですワ。

 夜の9時を過ぎていましたから『クルージングサウナ』4階と屋上は全裸タイムの真っ盛り。筆者が薄明るい屋上にいると、凄いタイプの子が近づいてきた。

 見せびらかすと触ってきたので、こっちも触ったらタイ語で話しかけてくる。「タイ語分からないんだ」と言うと彼、片言英語でいろいろ言いながら「こっちへ行こうあっちへ行こう」と僕を連れ廻します。

 正直、疲れているのと射精無しの複数淫乱行為の方が気軽で面白いと思っていますから、僕はちょっと引き気味です。しかし一方では「こんなタイプの子がリードしてくれる機会なんてまたとないこと。据え膳食わぬは男の恥」なんて思ってたのも事実。

 だけど彼、まだ会ってから10分も経たないのに「今日時間ありますか?」とか「日本人は好きです」とか「(僕の泊まってる)バビロンホテルに連れてって欲しい」とか言い始めた。

 『ひょっとしてこの子プロかも…』と僕が思ってしまったとたん、もうダメ。勃つもん勃たない。うんともすんとも僕のチンコは言うこと効かなくなっちゃった(ついに限界が来たんです)。彼の方が「ゴメン」って言う始末(情けないのはこっちです)。で、けっきょく僕の方から「じゃあね」で逃げるように別れてしまった。

・ただの〈おねだり君〉?

 インターネットに日本人ゲイによるタイ・ゲイ情報交換の某掲示板があります。後日、そこにこの出来事を報告、「全裸デーにプロなんているんでしょうか?」とお訊きしました。

 「プロだったかもしれないし、純粋な気持ちだったかもしれない。ただの〈おねだり君〉だったかも…。それは彼にしか分からない」とのお答え。また「引いているだけなら新しい展開は見えない」など真摯なお答えをいただきました(感謝)。

 僕の友人からは「タイプだったんなら、プロでもいいじゃん」との意見(それもそうだワ)。
 今から思うとただの〈おねだり君〉だったような気がします。20歳ぐらいの年齢だと、ふたりっきりのコミュニケーションをとりたいと思うもの。それに片言英語だからストレートな言い方しかできなかったのでしょう。彼は傷ついたかも。

 僕自身『タイの子とお友達になりたい』と思ってるくせに、なんかとってももったいないこと(と同時に悪いこと)したなと思ってます。やっぱりハッテン場行くなら体調万全にしとかないと他の人に失礼ってもんですワ(猛反省)。

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