■オランダ・アムステルダム
・ゲイ旅行の勧め■
●アムステルダム編・観光Vol.1
 Netherlands Amsterdam

■ アムスはオープン?


 
世界でいちばんゲイにオープンと言われるオランダ国、その首都アムステルダムヘ行ってきました。ゲイ関連の場所を精力的に回り、いろいろ思うところがありました。(南島健太郎)

--------------------------------------------------------------------

 2000年頃からすっかりハマってしまってる筆者の海外ゲイ旅行、2003年はヨーロッパのオランダとチェコ共和国です。チェコ5日間、オランダ6日間でした。

 本来オランダはチューリップが咲く時期4月から5月が観光シーズンなのですが今回行ったのは冬です。単純にこの時期、航空運賃がいちばん安いからですね。成田から両国往復、成田帰国の格安航空券で6万5千円。でもやっぱり寒かったのは確か。

 オランダは「世界でいちばんゲイにオープン」と言われている国ですが、行ってみなけりゃ本当のことは分からないと、まさに思いました。「オープン」という表現は確かに結果的にそうなのだけども、この言葉から想像される「最先端で洗練され、人々のコンセンサスを得たオープンさ」とは違いましたね。

 そもそもこの国は何でもオーケー。大麻などのソフトドラッグ、売春も合法。アムステルダム中央駅から1キロぐらいはドラッグあり売春ありゲイありの歓楽街。街自体もそれを観光資源にしている。

 ゲイもドラッグも売春も勝手にやってるといった感じ(もちろん法の基で法を守りながらやっているわけです)。

 そういう面ではまさに「オープン」なのだけど、ゲイのライフスタイル、セクシャリティとしてのゲイそのものが「オープン」かというと、それはまた別問題だと思いました。

 アムステルダムの街には白人老若男女のおしゃれな乞食が物乞いし、駅や繁華街には黒人グループが闊歩する。あらゆるところに精力的に行きましたが、「自己責任」という言葉を多く耳にしました。ちょっと怖かったのも事実。公用語はオランダ語。英語は問題なく通じます。

 

■アムステルダム観光


 オランダの首都で、人口約73万人。港町として発展してきたアムステルダム。運河とそれにかかる橋で細かくブロック分けされ、中央駅から扇状に3キロほど広がったエリアが中心地です。

 大きなビルはほとんどなく、こぢんまりとした4階建てぐらいの建物がくっつきあって立っている。

 これら建物は外観は石や煉瓦でも内部は木でできています。また、世界各国当たり前にあるコンビニがアムステルダムではまったく見あたらない。これらが意外でした。

 日本で言えば駅前商店街アーケードが連なってるような印象の街です。「ずいぶんくだけた感じだなぁ」というのが僕のアムステルダム第一印象。

 アムステルダムの観光名所は『アンネフランクの家』や各美術館、ミュージアム・ボートによる運河巡りなどですが、訪れるヨーロッパ人観光客は見どころの少なさに少々もてあまし気味のようでした。

《下記写真・アンネフランクの家・日本語パンフレット》

 『アンネフランクの家』は歴史的価値は大きいものの狭い普通の家ですから、観光客が集中しちゃって入場のため朝から長蛇の列。

 他に観光の行き場所があまりないので『エロチック博物館』にも列ができちゃう。この『エロチック博物館』、どうエロを博物館にしているのかと興味津々でしたが、なんてことはない、日本の古い温泉地にある『秘宝館』のようなところでした。

 国立ミュージアムの美術品の多さは圧巻。絵画などのほとんどが剥き出しで、「雑然と」と言いたいくらいひしめき合って展示されている。

 くしゃみをしたら唾がかかっちゃうようなところに16世紀あたりの名画が展示されている様は、ちょっとビックリ。

 筆者にとっていちばん見応えがあったのは『ファン・ゴッホ美術館』。日本語の案内もありゴッホの良さが満喫できました。《写真右・ゴッホ美術館》

 若い観光客はアムス市内に数百あるソフトドラッグ販売店(コーヒーショップ)や風俗店などの歓楽街が目的のようです。筆者にとってもゲイ施設が目的ですから、同じ穴のムジナですね。

 

■アムステルダム・エピソード1 
◆いきなりゲイ本屋


 アムステルダムで筆者が初日に泊まったところは一般の三つ星ホテル。いずれゲイホテルに泊まるつもりでしたが、場所も分からずいきなりコアなゲイホテルは不安ですからね、初日だけは日本から一般ホテルを予約しておいたというわけ。

 アムステルダムに着いたのは夕方、情報収集のため、詳しい地図やゲイ雑誌の広告などが役に立つ。これらを買うためにまずは本屋を探すのが僕のやり方。

 で、ホテル前の運河を渡ったらすぐに本屋がありました。あら?ここ、ゲイ関連の書籍を専門に扱っている本屋だ。さい先良いのかナンなのか?街をまだ見ずにいきなりゲイ施設にぶち当たった。「さすがアムステルダム…」と思ったしだい。《Vrolijk Bookshop写真》

 ここは『Vrolijk Bookshop』というゲイ専門書店。ゲイ雑誌からDVD、ゲイ関連の学術書など多く揃えている。
住所はpaleisstraat 135。

--------------------------------------------------------------

 オランダのゲイ雑誌は代表的なところで4誌。ツーリスト向けにゲイ施設案内が詳しいのは『Gaynews』と『Gay&Night』。どちらも販売もしているが、大きなゲイ施設にはフリーペーパーとして置いてあります。

 2誌とも新聞のような形態。主にゲイ施設の広告収入で運営しているようです。とくに『Gaynews』のネットサイトは旅行者事前情報に大いに役立ちます。『Gaykrant』は文化記事を中心としたゲイライフスタイルの内容。

《『Gaynews』『Gay&Night』『Gaykrant』『Squeeze』表紙写真》

・Gaynews, Amsterdam  http://www.gaynews.nl/

・Gay&Night, Amsterdam http://www.gay-night.nl/

・Gaykrant 
http://www.gaykrant.nl/


『BZ』 (旧・薔薇族) 2003年8月号より
 

■自己責任のオランダ人?

 たった6日間の滞在で筆者がオランダの人々を述べるのは大変失礼な話だとは思いますが、まあちょっとした印象を…。

 今回のオランダ旅行は、チェコ共和国プラハに寄った後の訪問でした。そのためか、チェコの大柄の人々よりもオランダの人々は一回り小さく映りました。それでも日本人よりはでっかい。

 ヨーロッパのいろんな地域から来ているのか、多数を占める白人でもタイプはいろいろです。アムステルダムの街を歩くと、30%ぐらいの人はアフリカ系や南米民族の印象でした。

 現地で聞いた話だと、オランダはかつて南米をはじめ世界各地に植民地があり、今ではその植民地民族が優先的にオランダに住めるようになったとのこと。そのため南米民族が多いのだといいます。

 昨年北欧に訪れたとき、北欧の人たちの親切さを本誌でも述べましたが、それに比べると(比べちゃ悪いが…)、オランダの人たちはとくに親切とは思いませんでした。分からないことがあって聞くと教えてはくれるけど、「自分のことは自分でやりなさい」という思想がまずある感じなんですよね。

 う〜ん、上手く言えないけどちょっとした違い。例えば英語が流ちょうではない筆者に北欧の人はかみ砕いて分かるよう話してくれたけど、オランダではそんなことありませんでした。早口でまくしたてちゃう。
 地図を見てると北欧では「教えてあげましょう」と向こうから話しかけてくれたけど、オランダじゃそんなこと皆無。

 べつに悪く言うつもりはないけど、フレンドリーという感じはしませんでした。失礼と思えるほどぶっきらぼうな人もいたしなぁ。良い感じ悪い感じ混合ってとこですか? ただしゲイホテルのスタッフはみんな親切でした。

 コメディ映画の『オースティンパワーズ』の中でオランダ人を揶揄した描写があって「何でだろう?」と思っていた筆者ですが、何となく分かったような気がします。

 失礼にならないよう上手く言いたいところだけど、下世話な感じ? まあ少なくともスマートでは無いんですワ(ゴメン、人のこと言えないね)。身なりがそこそこキチンとした白人の若い乞食(物乞いをしてる)はちょっとカルチャーショックを覚えました。「自己責任の上の自由な国」のひとつの側面を見たような気がします。

《写真上・テルモスサウナのパンフレットより》
《写真下・テルモスデイサウナのイベントフライヤー》
  『BZ』 (旧・薔薇族) 2003年8月号より
 このサイトの内容を無断転用することはできません。 Copyright(C) 200-20165 minamishima kawashima All rights reserved